十六行目 ページ16
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ぷつり、と電話が切られ、自分はもうロッカーに携帯を封印しようと固く決意し、電源を切る。
「勝って兜の緒を締めろ〜」
天童くんが仰け反る。目を細めて眉をあげると、瀬見くんが「次も勝ァーつ」と声をあげた。
「大葉、」
「は、はい」
彼が画面から目を離し、私の方を向いた。徐に私の隣に座ると、こう言い放ったのだ。
「ラーメンは、いつ行く」
いや、まさか彼が冗談を言うような人間だとは思っていなかったが、しかし彼だ。冗談と思いたくなるようなことばかりで、ラーメンなんて、牛島くんと一緒に行くような日がまさか自分に訪れるだなんて、思ってもみなかっただろう。そりゃあ言葉だってドギマギとして、ポツリポツリとしか出てこない。
「冗談じゃ、ないの？」
「なわけないだろう。俺がお前に嘘をつくようなことがあったか？」
「な、ない…」
周りの人間みんなが驚いているのが明白で、天童くんが「若利君ラーメン行くの？ご飯は？」と尋ねている。
「両方食べれる」
さも当然のように言った牛島くんに対し、「食いしん坊さんだ…」と感嘆の声が漏れた。
みゆきちゃんがこそこそと近寄ってきて、「放課後デートだね！」と言ってきたせいで、頭の中が真っ白になった。
あなたと寄り道をしたことがありますね。ラーメンを食べに言った気がしますが、それまでに色々ありましたね。
「今日は健気にここで待つの？」
「うん、待つよ」
「みるからにウキウキしてるね、Aちゃん」
「そんなに？」
今日が牛島くんと設けた約束の日である。昨日の夜からずっとわくわくしていたが、布団に入ったらものの三秒で眠りに落ちた。朝目が覚めて、現実を再確認してこうしてやってきた放課後、授業を淡々とこなし私は心が跳ねるような思いだ。元から人の気持ちがよくわかる天童くんにはバレバレだったのかもしれない。
「風邪引くなよ大葉ー」
「ひかないよ！」
「大葉、はい」
大平くんが私に渡してきたのはカイロだった。よくしゃかしゃか振ってしまうあれだ。「いいの？」と聞くと、彼は「若利のことよろしく頼んだよ」と言ってくれた。よくわからないが嬉しかった。
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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (
レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん！！私の世界観…！すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね！彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります！ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます！何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…！私も書いているとどんどん若利のことが好きになります！私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…！；；更新頑張ります！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ！濁しまくりです！悶々としながら作品を読んでください！笑 ありがとうございます！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2016年11月6日 18時
