十一行目 ページ11
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「大葉、俺がやる」
「え、いいよ、私がやるから！」
「ちなみにお前が今進もうとしているその道だが、目の前は段差だ。確実に転ぶ」
「……すみません」
仕事がひと段落して、私は走ってグラウンドの用具のところまで戻ってきた。BGMを流した機器を視聴覚室で確認したり、パイプ椅子は勿論だし、忘れ物の確認、万国旗の片付けまでしてここまで来た。あわよくば牛島くんに会えたらなあ、と思っていたが、私がここにやってきた時、牛島くんはいなかった。
ちょっと寂しく思ったが、まあ致し方ないのでコーンを運ぶ手伝いをした。思いの外たくさん渡されて前が見えないが、まあなんとかなるだろう、と軽く考えていたら、私があわよくば、と思っていた彼とすれ違ったのだ。
私だと確認するや否や怪訝そうに私を見つめて、そう声をかけてくれた。嬉しかったがびっくりして転けるところだった。
牛島くんに押し負けて、怪我してるのに、と申し訳なく思いつつ半分だけ持ってもらった。「全部持てるが」と言われたが、勇気を振り絞って「い、いい一緒に行こう！」と言うと、「それもそうだな」と、彼は目元をほころばせた。
体育館倉庫に行くまでのこの時間、久々に二人きりだった。
「委員会は忙しいのか？」
「それも今日で終わりだよ」
「三年もやらないのか？」
「三年生は引退なの。みんな次の世代が新しいものを作っていくんだね〜…」
「そうだな」
来年、三年生になったら、彼とクラスが分かれる、授業も違う、勉強の速度も何も。そうしたら、私は必要なくなってしまうなあ、かなしいなあ。
「アッ」
牛島くんの隣で歩くのは緊張して、まるで時間が早く過ぎてしまうような感覚に陥るのだが、私はその時間を手繰り寄せてずっと離さないでいたい。けれど、やっぱり終わりは来てしまうもので、私たちを見るなり体育館倉庫で用具をしまうのを手伝っていた奏我くんが気まずそうに声を漏らした。
「奏我か」
「お、おう」
「よろしく頼む」
「そう怖い顔すんなよ」
牛島くんは自分の持っていた分のコーンを徐ろに手渡し、「貸せ」とぶっきらぼうに言いながら、私の持っているコーンを代わりに持ってくれた。言い方はぶっきらぼうなんだけど、行動は優しいから、私はいとも容易くときめく。
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ぽもん(プロフ) - 主人公ちゃんがインフルになった出来事の電話のところで思わず泣いてしまいました。作者様の語彙力にも毎回驚いています。続編も読むのが楽しみです。 (2017年10月27日 14時) (
レス) id: 28958b8036 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 小粒納豆さん» 小粒納豆さーん！！私の世界観…！すごい響きですね…一年という時間が経つのは早いものですね！彼を好きになって良かったなあと切実に思います…私はこれからも文字量産おばけとして頑張ります！ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - モロモロさん» ありがとうございます！何度も読むと味が出る作品でありますように笑 沢山伏線を巡らせたはずなので探してみてください笑 (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - セイラさん» はああさぞかし長かったことでしょう…ありがとうございます…！私も書いているとどんどん若利のことが好きになります！私も勉強しなくては、と思います笑 中々上手くいかなくても努力は大切ですよね…！；；更新頑張ります！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
あゆむ(プロフ) - 甘奈さん» 本の生産を考えると赤字すぎて震え上がるので笑 そりゃあ濁しますよ！濁しまくりです！悶々としながら作品を読んでください！笑 ありがとうございます！ (2017年1月4日 1時) (レス) id: ca84e134e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あゆむ
| 作成日時：2016年11月6日 18時
