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「子供だと思って俺達が手加減するとでも?」
大人の男は余裕な顔をして律くんを見て笑う。
「思ってないよ。あなた達のような無能な消耗人材がそんな良識持ち合わせてるわけないじゃないか」
律くんは男たちに冷たく言い放つ。
それにしても、やっぱり律くんは頭いいんだなって思う。
ちょっと前まで小学生だったのにぽんぽんと難しい言葉を話せる律くんを尊敬する。
そして律くんは静かに壁際に歩いていく。
「そうかい。じゃあお得意のスプーン曲げで自分を守ってみろやナチュラルさんよぉ!」
興奮した大人は、律くんが子供だなんて考えもせず、手を上げる。
「やっ…!危なっ…!!」
律くんが男に殴られそうになっていて、それを檻の中から見ていた私はなにもできなくて目を瞑ることしかできなかった。
真っ暗な視界。大きな物音がした。
大丈夫かな、律くん…律くん…
「律く…」
ゆっくり目を開けると律くんは地面にしっかり足をつけていた。
壁に打ち付けられていたのは、相手の大人供だったのだ。
「…っす、すごい!!!」
ぽろりと声が漏れるほどのコントロール力。
「俺達に鍵を開けさせるまでもなかったんじゃ…」
星野くんがそう言うと律くんはううん、と首を振った。
「いや。僕らが非力であることを見せる必要があった
…あの監視カメラからここは死角。長めの教育をされていることにして早く海斗君を救い出そう」
律くんはそう真剣な顔で言った。
正直、頭が上がらない。
「かっこいいなぁ」
年下のくせに、かっこよすぎる。
こんなのモテちゃうよなぁ
なんて思いながら笑うと私の顔をまた律くんは覗き込んできた。
「褒めても何もでませんけど、
なんかしてほしいですか?」
そんな風にニヤリと律くんは笑うから、
私はつい、顔が熱くなってしまう。
「…何言ってんだ
このおませさんは」
目なんか合わせたら死ぬ。
この中坊に、弄ばれてるのが悔しくて私は一生懸命別方向を見た。
律くんは私の頬を一回つつくと、
すぐに作戦会議に戻った。
「黒崎さん。ここからは君の直観力だけが頼りだ。」
「えっ…私?」
重大な任務を任せられた麗ちゃんは少し嫌そうな顔をする。
「頼めるかな…?」
あ、でた。
上目遣いしながらお願い。
案の定麗ちゃんは顔を赤らめて
「や、やってみます…」
ずるい小悪魔に乗せられた麗ちゃんを見て
周りの男は「お、面白くねぇ」と不満を募らせた。
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いお(プロフ) - めっちゃ面白いです! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 2c0f895578 (このIDを非表示/違反報告)
もちぷにゃ(プロフ) - くるみさん» 前の作品から見てくださってありがとうございます!!!進度は遅いですが、まったりと気ままに見ていってください!! (2019年3月20日 1時) (レス) id: 60b6080b83 (このIDを非表示/違反報告)
くるみ(プロフ) - リメイク版嬉しいです!過去の小説何回も読み返して、更新はもうないかなぁって諦めかけてたので....... (2019年3月18日 23時) (レス) id: 31bc7fd2ed (このIDを非表示/違反報告)
もちぷにゃ(プロフ) - ブラピさん» 嬉しいです!!どんどん更新できるよう頑張ります! (2019年3月17日 18時) (レス) id: 3f692da79e (このIDを非表示/違反報告)
ブラピ - 小説とても面白くて大好きです!更新頑張って下さい! (2019年3月17日 11時) (レス) id: e896eb0a17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちぷにゃ | 作成日時:2019年3月9日 19時