検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:59,895 hit

好きだよ。 ページ42

『俺が元彼女の浮気の件で、相談して。
その時に偶然、Aの腕の青あざを見つけて。
Aの元彼の暴力を知った。
それまで、その事実を知らなかった事が正直、悔しくてな。
それから俺は、Aを守りたいっていう思いが日々、増していったんだよね』

「...紫耀くん。」
『お節介かもしれないって思っても。
俺がAを守らなきゃって』
「お節介だなんて。思った事一度もない」

紫耀くんの”守りたい。”という言葉が、
頭の中を駆け巡っていく。

「いつも...、いつも心強いって思ってる。
紫耀くんが側にいてくれて。」

紛れもなく。それは私の本心。
紫耀くんの存在に、何度も助けられて来た。
私は頼ってばかりいるけれど。

『Aに頼って貰えること。
弱音を吐ける相手が俺であることが、いつもすごく嬉しくて。
頼って貰える事に、俺は幸せを感じてたんだ』

淡々と言葉にしていく彼。
私は紫耀くんの一語一句に、耳を傾ける。

『...でも、俺はAが欲しいと。
段々、思うようになって。気持ちに変化が出てきたんだ』

綺麗な彼の瞳が、私と交わる。
真っ直ぐで。射抜かれてしまいそうなほど。
視線を逸らす事は出来なかった。


『...好きだよ。A』
『俺と付き合って下さい。』


紫耀くんが私を。
今までも何度か、彼の思いを感じる出来事はあった。
だが、その確証が無いから。心の奥ではどこか自信は持てずにいた。
答えはもう決まってる。断る理由なんて無かった。
私も好きだから...。紫耀くんを。

「私も好きなの。紫耀くんのこと。」
「だから、よろしくね。これからも」

顔が熱い。言葉にするとより意識して。
速くなる鼓動。

『え、本当に?...俺のこと好き?』
「嘘じゃないよ。大好きだよ。
ずっと思ってた。優しくて愛情深い紫耀くんの彼女になれる子が、羨ましいって」
『めっちゃ嬉しい...。』
「紫耀く....っ、」

ぎゅっと抱き寄せられて。
紫耀くんの温かい体温に包まれた。

『俺の片思いだって思ってた』
「大吾への気持ちが離れてから。紫耀くんを想ってたの。ずっと」
『そうだったんだ』

腕を少し緩められて。紫耀くんが私に視線を合わせる。私も彼の綺麗な瞳を見つめ返した。

『...A。
”紫耀くん”じゃなくて、...紫耀て呼んで』
「...っ。...紫耀。」

初めて呼んだ。”紫耀”と。
慣れない呼び方で、ちょっと照れくさい。
でも紫耀はすごく嬉しそうに、目を細めて笑った。

唇から伝う彼の愛情→←お互い感じる安心感



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.4/10 (51 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
208人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:若菜 | 作成日時:2017年3月31日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。