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一緒に買い物へ ページ39

-side of you-

歩いて10分程の場所に、紫耀くんがよく行くスーパーがあるみたい。
元彼女以外の女性と、こうやって一緒に並んでスーパーへ行った事がないんだって。
友達である私は初めてって事か。

さすが自炊をしてるだけある。
紫耀くんは、”ブロッコリー今日は安いな”など言いながら。お買い得の野菜の値段も把握してる。

『Aは何食べたい?』
「しゃけのムニエルかな」
『よし。今夜はお魚にしよう』
「いいの?それで」
『いいよ!俺もしゃけ好きだから』

私のリクエストがあっさり通ってしまった。
紫耀くんは優しい。私に合わせてくれるところも。
一緒に肩を並べて買い物してるとさ。
想像してしまう。まるで同棲してる恋人同士みたいで。
付き合ってる訳ではないのに。
紫耀くんの隣は、居心地が良い。ホッとするんだ。

客「あら。男の人かっこいいわ。良いわね。
あんなかっこいい人が彼氏だなんて」
客「本当ね。羨ましいわ」

鮮魚コーナーの近くを通った、60代くらいのおば様二人組。紫耀くんを見てそう呟いた。
紫耀くんはそのおば様方に、ニコッと軽く会釈。
そうか。はたから見たら、私達は恋人同士にも見える訳か。
だが、現実は...違う。友達。それは夢のような話だ。

『彼氏だって。同棲してる恋人同士にも見えるんだな。俺ら。』
「彼女なら、もっと可愛い人が良いでしょ?」
『何言ってるん。...Aは綺麗じゃん』
「もう...。お世辞でも嬉しい」
『お世辞じゃないもん。本当にそう思ってるよ。
綺麗だって』

生鮭の入ったトレーを一つ手に取り、カゴの中へ入れて。紫耀くんは呟いた。

『俺はこう言われたかったな。
”隣にいる女の子、綺麗ね。彼女かしら”って』
「...あざとい。紫耀くん」
『へへ、本当のことだもん』

私が彼女に間違われても、嫌じゃないって事だよね。それは。
紫耀くんの彼女になれるなら、なりたい。私。

鮮魚コーナーを後にして、ジャム売り場へ。
紫耀くんは無糖のヨーグルトにジャムを入れて食べてるんだって。私もそれは同じ。
共通点を見つけてなんだか嬉しくなった。

いちご、ブルーベリー、りんご、オレンジママレード。あんずなど。様々なラインナップの中。どれにしようかなと紫耀くんが選んでいると、隣にいた私は声を掛けられた。

「...A?」
『え、...大吾。』

何度も近くで耳にしてきたから。誰かなんてすぐに分かる。
聞き覚えのある低めの落ち着いた声。
そう。大吾だった。

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作者名:若菜 | 作成日時:2017年3月31日 18時

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