隣にいたのは ページ37
-side of ○○-
ピピピピと。スマホのアラームが鳴る。
枕元のスマホを手で手繰り寄せ、アラームを止めた。
朝9時。
俺は今日まで連休。
そしてAは有給で休みなんだって。
うっすら目を開けると。
カーテン越しにも今日は晴れてる事が分かる。
だが、いつもと違う。
抱き枕の柔らかい感触とは違う。おかしい。温かい。
左へ視線を向けると、隣にはA。
無防備なAの寝顔。
『...っ！！、A。なんでベッドの中に、』
心臓が飛び出すかと思った。
昨日。確かに隣へ布団を敷いて。
一緒に寝たとこまでは覚えてる。
俺が無理やりベッドへ、Aを引きずり込んだ訳ではない。それは断じてない。
朝から心臓に悪い。
なぜなら。俺が密かに片思いしてる女性だから。
Aは。
『びっくりした....』
先日。俺がAから連絡を受けて泊まった日。
その翌朝。元彼女・清香にされた浮気の件を、気にかけてくれたから。
その嬉しさから思わず、腰を抱き寄せちゃって。
軽い男に思われたかもしれない。
こみ上げる触れたい衝動。
それを今、俺は必死に抑えてる。
まだ告白もしてない。そんな情けない俺だけど。
好きだから。
好きだから。Aのこと。
だから、触れたい。抱きしめたい。って思うんだよ。ましてやここはベッドの中。
「...んっ。紫耀くん...」
『おはよ』
「...おはよ」
まだ眠そうで。寝起きのAの声は、小さめで少し
掠れ気味。すごく可愛くて。
俺は平静を装うのに必死。
『びっくりしたよ。まさか同じベッドで寝てたとはさ』
「ごめんね。なかなか寝付けなくて。
紫耀くんの体温で安心したら眠れるかもって。
考えちゃって」
『ふふ、大胆だな。
俺の体温は、Aを安心させられるんだ？』
「そうみたい。それからすぐ眠れたから」
すごく嬉しい。
俺の体温で安心させられるなら。
誘いたくなるだろう。今夜は一緒に寝ようかって。
『それは、一緒に寝る限定の話だよな。
もしさ。Aと俺が付き合ったら。
俺の体温は安心感だけじゃなくて。
...刺激も与えたいね。男しては。』
「またそうやって大胆な事。言う...」
『ははっ、ごめんて』
君は少し頬を赤くして俯いてしまった。
「紫耀くん。...上手だろうから。女の子抱くの」
「すごい幸せな気持ちになれそう。
たくさん愛してるって、伝えてくれそうで」
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作者名：若菜 | 作成日時：2017年3月31日 18時
