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優越感か。私のこのどこか物足りない、締まりのないすっぴんを見て、そう感じるなんて。
物好きだな。紫耀くんは。
一方、彼は。お風呂上がりでさらさらの髪。
羨ましい。素晴らしいキューティクルだ。
お風呂上がりの牛乳を片手に。
紫耀くんには、お風呂上がりに牛乳を出してあげたので。さらに追加で、冷たいお茶を注いであげた。こうやって他愛のない話をしてるだけだが、
楽しいし、何より気持ちが安らぐ。
きっと紫耀くんの穏やかさ。
それが、私にそう感じさせるのだろう。
「そろそろ寝よっか」
『え、な、そうだな。...緊張するわ』
「どうぞ。あんま広くないけど」
『お邪魔します。なかなか無いよ、この立場。
エスコートされてる気分だから』
掛け布団をずらして先に紫耀くんをベッドへ。
後から私が入るかたち。
私もベッドへ入り掛け布団をしっかりかけた。
彼は筋肉質でがっちりとした体型だ。
ゆえに、肩と肩が触れ合う位置にいる紫耀くん。
当然ながら、この距離は近い。
はたから見たら、友達の域を超えてるのだろう。
隣にいてくれると、安心するんだ。とても。
紫耀くんだから、安心するの。
『布団、ふかふかで気持ちいな。めっちゃ』
「そう？ありがとう。そんな高いもの使ってないよ」
『A。寝れないかも俺。緊張して』
「そんな緊張する？私相手に」
『するよ。そりゃ。...分かってないよ、Aは』
身体ごと紫耀くんは私の方へ少し傾けて。
向けられる。真っ直ぐな眼差し。
「どうして？」
『...好きだから。』
少し遠慮がちに。彼の右手が、そっと私の頬を撫でた。
『分かる？...ここ。どきどきしてるの』
それから私の左手を持っていく。自身の左胸へ。
指先から伝わる。とくとくと脈打つ鼓動。
少し速いような。
紫耀くんがしきりに緊張してると、呟いてる事。
実感させられた。それは、冗談で言ってる訳ではなかった事を。
「本当だ。ちょっと速いね」
『でしょ？...もう、だめだって。俺もう、持たないっ、』
「ちょっと紫耀くん、壁の方行かないで、」
寝返りを打つように彼は壁の方へ。
私へ背を向けるかたちで、端の方へ丸くなってしまった。
「紫耀くん。こっち向いて」
『うーん。...いや、だ』
「紫耀くん...」
なおも私へ背を向けたまま。
こちらへ顔を向けようとしない紫耀くん。
私がそもそも、無茶なお願いをしたせいだ。
「ごめんね。私が無茶なわがまま言ったから」
「紫耀くん。...ごめんなさい」
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作者名：若菜 | 作成日時：2017年3月31日 18時
