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-side of you-
どれくらい時間が経ったのだろう。あれから。
大吾にこうされた時に。枕元の時計はベッドの下へ落ちてしまい。
その目覚まし時計以外、近くに時計がなく。
時間が分からない。
他にも壁掛け時計があるのだが。枕元からは死角になっており、見えないのだ。
紫耀くんに会いたいな。
そう願わずにはいられないほど。君を求めている。私にとって紫耀くんは、何でも気兼ねなく話せる友達。大切な友達だ。
「どちら様ですか?」
コンコンと。玄関のドアを叩く音が耳に入った。
ハスキーな安心するこの声は。
『紫耀。紫耀だよ。A』
『あ、開いてる。』
「紫耀くん...。」
「...A」
今一番会いたいと、切に願っていた彼だった。
走って来たのか、少し息を切らしてる。
紫耀くんの顔を見て、心底安心した。
会いたかった。本当に。
『これ外すから。鍵は、』
「そこのテーブルの上にある」
ガチャガチャと鍵を回し、がしゃんと音を立てて。私を縛り付けていた鎖が外れた。
ようやくだ。ようやく身動きが取れるほど、自由に。
「ありがとう紫耀くん。...ごめんね。いっぱい迷惑かけて」
『そんなん、全然気にしてない。迷惑だなんて、俺は思ってないからさ』
『首。...少し赤くなってる。
身体、苦しいとこない?今』
「大丈夫だよ。今はどこも苦しくない」
『そっか。良かった』
首元が赤くなってたなんて。自分では気付けなかった。
紫耀くんは私の首元を、優しく撫でながら。
ふと視線が下がる。私の身体へ。
『無理矢理、乱されたんだな。服も』
それから、大吾に馬乗りになられた際に、軽く乱された服を整えてくれた。
「ありがとう。紫耀くんに会えて、安心した。
すごく」
『俺も。Aが無事だったから。ホッとした』
「紫耀くんに会いたかった。一番」
『...俺に?』
「うん。」
『ありがとう。嬉しい』
ベッドの上で。二人並んで腰掛けて。
紫耀くんとこう会話を交わしてるだけで、違う。
先ほどまで冷え切っていた心は、少しずつ温かさを取り戻していく。
紫耀くんの腕が、不意に私の肩へ。
優しく肩を摩る彼の右手。
指先から伝わる紫耀くんの優しさ、温かさ。
『もう大丈夫だよ。俺がいるから』
そして、さらに私を掴んで離さない。
彼の綺麗な透明感のある瞳。
ずるいよ。そんな綺麗な顔で見つめられら。
とくとくと胸が高鳴りそう。
紫耀くんは、友達なのに。
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作者名:若菜 | 作成日時:2017年3月31日 18時