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「...っ、いやっ!、やめて」
『紫耀くんが好きなら、こうしちゃうって。
言うたよな...俺。』

私のベッドは大吾の家のベッドのように
鉄格子タイプではない。
だが、ベッド脇のスタンドランプの柱へ。
がしゃんと音を立てて繋いだ。
完全に自由を奪われた左手。
そして、服を乱暴にたくし上げられた。


「大吾、お願い。外して!
どうしてこんな事するの...っ、」
『俺はまだAの事、好きやのに。
あいつに、そそのかされたせいやろ。...紫耀くんに。』
「誤解だよ!違う。紫耀くんと付き合う訳じゃない...っ!そそのかされたなんて。根も葉もない事、勝手に決めつけないで」
『あいつの事になると、随分必死になるよな』

繋がれた左手の手錠と、スタンドランプのがしゃとがしゃと唸る金属音。
外したい。これをせめて外せたら良いのに。


『あいつに奪われるくらいなら。
...今ここで、こうしちゃおっか。』
「...っ、ぁ、......んっ、」

背中へ冷や汗が走る。
大吾は両手で、私の首を絞め始めた。
きっとこれが、君の本性?

ここで死ぬなんて、ごめんだ。
こんな最期は死んでもごめんだ。
繋がれてない右手で、必死に彼の両手を引き剥がそうと試みるも。
大吾は男だ。男性の力に女性が敵うはずもなく。

「...はな、して......。っ、だ、いご」
『嫌や。』
「.....んっ、....っ、ぁ、」

腕の力が強い。ぐっと息の根を抑えつけられる。
苦しい。苦しい。息が吸えない。

『ここで消せばいいんだ。Aを。
そうすれば、あいつの元へ渡らずに済む。』
「...や、......ぁ、」


紫耀くん。
ここで...もう死んじゃうかもしれない。私


『ん?、何だよ。...電話?』
「....っ、」

ピピピと、鳴り響く着信音。
テーブルの上に置いてある私のスマホ。
彼が先に覗きに行った。
幸いにも彼の腕から解放され、大きく息を吸い込んだ。

『誰やねん。...平野紫耀って。あいつか』
「えっ、....」

『もしもし?...お前が例の、紫耀くんか。』
(男?どちら様ですか?)
『Aの彼氏です。今さっき別れを告げられましたけど。』
(なんで貴方が出るんですか。)
『Aの自宅におるからや。』


電話の相手は紫耀くん。
このタイミングで掛けてくれた事を。心の底から感謝したい。
彼は電話を握ったまま、また私へ馬乗りになって。紫耀くんと電話越しに会話を続ける。


『お前が助けにでも来れば?...Aの王子様。』
(おい、Aに何したんだよ、)
「紫耀くん....っ、」
(...A?)

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作者名:若菜 | 作成日時:2017年3月31日 18時

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