痛み、歪みも恋のうち (ページ2)

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友達である君ページ2

都心から少し離れたとこにある、Aの自宅。なるべく平然を装って。インターホンを押す。

「紫耀くん...」
『...A。いきなり押しかけてごめんな。
...俺さ、浮気されたんだ。実は。
どうしよ...。思ったよりショックが大きいんだ..。』
「え？、浮気。彼女が...」

とりあえず上がりなよと、促されて。
リビングのソファへ腰掛ける。
温かいハーブティーまで、わざわざ用意してくれて。心が温まる。...俺の彼女にはない、君の優しさに。

「見間違いじゃなくて？本当なの？それ」
『本当なの。他の男と歩いてる彼女を見かけた。向かい側の歩道でな。
それだけじゃないんだ。
...この前なんか、胸元にキスマーク付けてたんだよ。...俺のじゃない。俺が付けたやつじゃない。...他の男の。』
「そうだったんだ...。ひどい、」

思い出しただけで胸が痛い。...痛む。
知らない他の男のキスマーク。今日、目にした二人で仲良く歩く姿。...そして近頃の、俺への素っ気なさ。
当てはまる節がいくつもある。
浮気だろう。誰がどう見ても。

『...紫耀くん。そんな彼女とは別れたら？
ずるずると振るタイミングを見失ったら。
きっともっと、紫耀くんが、しんどくなりそうだよ』
「そうする...。近い内に。
正直さ、キスマーク見つけた頃から、彼女への気持ち。冷めて来ててさ」

相談よりほとんど愚痴だよな、これ。
優しいからAは。俺の話を真剣に聞いてくれる。

ハーブティーを飲みながら、気持ちを落ち着かせる。少しずつ冷静さを取り戻していく。
ふと何気なく、彼女の腕が目に入った。
だがそこには、小さな青アザのようなものが。

『どしたん？腕、怪我したん？』
「あ、これ。
...実は、彼氏にこの前、殴られたとこ。」
『な、え？、ちょっと腕まくるな』

Aのニットの袖をまくると、5cmくらいの青アザ。よほどの強い衝撃が加わらないと、ここまで青くならない、はず。

『...っ。A』
「、しょ、紫耀くん...」

衝動的に、彼女をぎゅっと抱き寄せてた。

俺にいきなり抱きしめられて、そりゃ戸惑うよな。俺は君の好きな人でも無ければ、ましてや彼氏でも無い。
でも、それでも。そうせずにはいられなかった。