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2019年 9月
「…、A、」
「……」
福澤「A!」
福澤に呼ばれる声が聞こえ、コップに入っていた氷がカランとなったのが聞こえた。
「…なに?」
福澤「なにじゃないだろ、どっか行ってたぞ?」
清水「もう酔った?」
「酔ってない」
福澤の隣で清水が笑っている。
清水より先に潰れるものか。
福澤「お前何があった、アジア選手権からおかしいぞ」
「…なにも、ないよ」
福澤「ほんとか?」
「ほんとだよ」
清水「ほんとか〜?」
「清水だまれ」
清水「俺だけ当たり強くない??」
清水が福澤に確認すると福澤は爆笑していた。
何もないなんて本当は嘘。
アジア選手権の直前に、彼氏にフラれた。
結婚を考えている人だった。
お互いに仕事のことを理解していたのに、相手が別に恋人を作ってそっちと結婚すると言った。
アジア選手権の直前に。
福澤「お前がそんな調子じゃみんな心配する」
「ほんとに何もないよ…」
福澤「フラれただろ」
「……」
なんで、こう…福澤は勘がいいのだろうか。
清水「図星か」
「…うっさい」
お酒が入っているせいか涙が出てくる。
そんな私の様子を見てふたりは頭を撫でてくれた。
「結婚まで考えてたんだよ…なのに、なのに…他で女作って、挙げ句の果てには『お前は他の男といる時間が長いのに俺は女といちゃダメなのかよ』っていうんだよ?こっちは仕事だって何回も言ってるのに」
福澤「お前は男見る目がないなぁ〜」
「福澤、明日の練習でシバく」
清水「お〜怖い怖い」
「清水も、だよ…」
そういった瞬間、私は意識を手放した。
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作者名:Lal | 作成日時:2020年4月28日 12時