拾伍話 ページ16
side A
「兄ちゃんが連れてかれた……夜道を歩いてたら、俺たちには目もくれないで兄ちゃんだけ……」
「あの家の中に入ったんだな」
炭治郎くんが念を押すように確認すると、兄の方は何度も頷いた。
話を聞いたところによると、この二人は自分の兄の血の跡を辿ってここまで来たらしい。
「……そうか、よく頑張ったね」
「大丈夫だ。俺たちが悪い奴を倒して、兄ちゃんを助ける」
炭治郎くんの声は、力強くも優しかった。
「……炭治郎、Aさん、」「どうしたの?」
善逸くんは屋敷を見上げ、片耳を押さえている。……何か聞こえるのだろうか?
一度自分で耳を塞ぎ、余計な音を遮断する。ゆっくりと、自分の聴覚が冴えていくのがわかる。
手を離した。
「なぁ、この音何なんだ? 気持ち悪い音……ずっと聞こえる。鼓か? これ……」
「……ほんとだ、鼓の……」
聴覚に神経を集中させると、普段聞こえないような音も多少は聞こえるようになる。
もちろん善逸くんのような生まれ持ったそれには、精度も持続時間も劣るのだけれど。
「音? 音なんて……」
心なしか、だんだんと近づいてきているように感じる。そして______
ぽん、という妙に軽快な鼓の音と共に、屋敷の二階の窓から放り出された人が宙を舞った。
一瞬呼吸を忘れるが、人の落ちる音で我に返った。近くにいた兄妹の頭を自分の肩に押しつける。
「キャーッ」「見るな!!」
悲鳴をあげる二人の背を、あやすようにそっとさすった。
「あ、あれ、兄ちゃんじゃなかった……着物が違う……」
「……そうか、俺たちが守るから大丈夫だよ。……君たちも、君たちのお兄さんも」
炭治郎くんが、地面に倒れ伏したその人に駆け寄った。
……地面に綺麗に寝かせたあたり、もう息を引き取ってしまったのだろう。
もっと早くに来ていれば、そんな考えが頭をよぎったけれど、後悔しても人は生き返らない。
今の俺にできることは、この先の犠牲者をなくすことだけだ。
「善逸くん、少しこの子たちを見ていてくれる? 俺は屋敷の中に入る」
「えええ!? いくら死なないからって危ないよ!! みんなで一緒に行った方が……」
「大丈夫だよ、君たちはその二人を守ってあげて?」
そう一方的に告げてから、返事も聞かずに屋敷へ足を踏み入れた。
・・・
すみませんリアルで色々あってスランプ気味です…
あと我妻(弟)のBL書こうか迷ってる どうしよう
柱の声優良すぎか?
526人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
watanuki - 更新、自分のペースで頑張ってください!笑私も作者をしていたことがあったので作者さんの気持ちは痛いほどわかります..(違うかったら恥ずかしい)後進遅かろうが早かろうが私はこのお話が好きなのでずっと待ちますよ!応援してます! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 75a3120b9c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月23日 5時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 雨鷽さん» 返信遅れてすみません、コメントありがとうございます!!そう言っていただけて光栄です…!頑張りますのでよろしくお願いします!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - この小説、めっちゃ好きです!!頑張ってください! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!!こういう設定大好物なもので、衝動に駆られて後先考えず書いてしまいました…へへっ(( 応援ありがとうございます(〃ω〃) (2019年8月27日 20時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ひろと | 作成日時:2019年7月21日 20時