拾壱話 ページ12
side 炭治郎
(か、かわいい……!!)
肩に寄りかかりながら善逸をからかうAさんに思わず心の声がもれそうになるのを、慌てて手でおさえた。
だって、元々が少女のような、どちらかといえばかわいらしい顔立ちなのだ。満面の笑みなんて、そりゃあかわいいに決まっている。
……なんていう無駄な思考を放棄して、Aさんの名前を呼んだ。
「Aさん、あの……」
先ほどから気になっていることがある。
「ん、なに?」
首を傾げて俺と目を合わせるAさんにつられて、善逸も俺の方を向いた。
「さっき、鬼の身体が溶けたのは何故ですか?」
「あ、それ俺も気になってた」
Aさんがその背を爪に切り裂かれたあと、鬼の身体が突然溶け始めた。
そのとき確か「俺の勝ちだ」と言っていた筈だ。彼が細工をして倒したとしか思えない。
「ああ、それね。実は……」
彼はごそごそと懐をあさると、小瓶を取り出した。大きさは掌に収まる程度だろうか。
「これを飲んだ俺の腕を喰ったからだよ」
底に残った藤色の液体が揺れた。
「それは……?」
「藤の花を酒につけたやつ。ほら、鬼は藤の花を嫌うでしょう? 効き目はそこまで長くないけど、俺を喰った鬼を殺せるんだ」
なるほど。
人間には無害でも、鬼にとって藤の花は猛毒になる。
血液に藤の花の成分を含ませ、それを摂取させて鬼の身体を溶かしていたのだ。
「俺には日輪刀がないから、こうやって自分を喰わせて殺すしかないんだよ」
彼は瓶をまた懐にしまいながら、困ったように笑った。
「……ん? あれ、鎹鴉じゃ、」
「ギャアアアア!! A! A!!」
どこからか飛んできた鎹鴉が、善逸の言葉に被せるようにしてけたたましく鳴いた。
どうやら手紙を足に結びつけられているようだ。
「え、俺……?」
Aさんは鴉の足から手紙を外して開き、手紙を読み始める。
伏せられた鮮血の色の双眸が、そこに並んでいるであろう文字列をなぞっていく。
俺と善逸は、そんな彼の姿を静かに眺めていた。
・・・・・
お久しぶり&キリが悪くてすみません3時間SP〜!!!
(歓声)(大きな拍手)
は?
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watanuki - 更新、自分のペースで頑張ってください!笑私も作者をしていたことがあったので作者さんの気持ちは痛いほどわかります..(違うかったら恥ずかしい)後進遅かろうが早かろうが私はこのお話が好きなのでずっと待ちますよ!応援してます! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 75a3120b9c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月23日 5時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 雨鷽さん» 返信遅れてすみません、コメントありがとうございます!!そう言っていただけて光栄です…!頑張りますのでよろしくお願いします!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - この小説、めっちゃ好きです!!頑張ってください! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!!こういう設定大好物なもので、衝動に駆られて後先考えず書いてしまいました…へへっ(( 応援ありがとうございます(〃ω〃) (2019年8月27日 20時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひろと | 作成日時:2019年7月21日 20時