拾話 ページ11
side 善逸
口調も顔も笑っているようだけれど、その声は僅かに震えていた。
深い、鮮血のような赤色が潤んでいるように見える。
彼は涙を流さずに、静かに泣いていた。
目の前の美しい少年一人を笑顔にさせる術すら持たない自分が、酷く無力に思えた。
それでも、
「……ごめん、暗い話して、」「っAさんは……!」
思わず名前を呼んでいた。
こちらを向いた紅と視線がかち合って緊張したけれど、精一杯声を絞り出す。
「Aさんは、気持ち悪くなんかない! 強くて優しくて、すごく綺麗だよ」
目を見開いて、それから炭治郎と顔を見合わせて、二人して笑った。
「えっなに!? 怖いんですけど!!」
「っふふ……だって善逸くん、」
______今の、俺に告白してるみたいだったよ?
「あっ……!!」
言われるまで全然気づかなかったけど、俺めちゃくちゃ恥ずかしいこと言ってた……!!
顔にどんどん熱が集まるのが自分でもわかる。
「くくっ、大丈夫? 顔真っ赤だけど」
「大丈夫じゃない!! もう二人とも知らねえから!!」
二人に背を向けて、両膝を抱え込むみたいに座った。
後ろから二人の会話が聞こえる。
「あーあ、善逸くん拗ねちゃった」
「たぶんAさんが行ったら、すぐ機嫌直ると思いますよ?」
その言い方はなんだ炭治郎。まあ間違ってはないけど。
「そう? じゃあ行ってくる」
Aさんが立ち上がって近づいてくる気配がした。
そういえばこの人はまったく足音を立てずに歩くなあ、なんて考えていたせいで、彼が背後に居ることに気がつけなかった。
「善逸くーんっ」楽しげな声色で両肩を叩かれる。
「ねえねえ、機嫌直してよ」
顎を肩に乗っけるようにして、彼が俺の耳元で囁いた。
ものすごい良い匂いする!! 心臓が!! 爆発しそう!!
「まだ怒ってる?」「怒ってない」「 ……俺のこと、嫌いになった?」
「な、なってない!!」
少し寂しそうな声で言われて、反射的に振り返って勢いよく否定してしまった。
「……あ、やっとこっち向いた」
彼は悪戯っぽく笑った。蕩けたみたいな笑顔に、治りかけていた熱が再び戻ってくる。
美人って笑うとかわいいんだなあ、なんて考えてる自分がいるのには、知らないふりをした。
・・・・・
ひたすら善逸とのイチャイチャ回
Aくんガードこそ固いものの仲良くなれば甘えます
そしてそれ以上に甘えさせるし依存させるし惚れさせます文字数
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watanuki - 更新、自分のペースで頑張ってください!笑私も作者をしていたことがあったので作者さんの気持ちは痛いほどわかります..(違うかったら恥ずかしい)後進遅かろうが早かろうが私はこのお話が好きなのでずっと待ちますよ!応援してます! (2020年2月26日 7時) (レス) id: 75a3120b9c (このIDを非表示/違反報告)
三日月 - 続きまだ? (2020年2月23日 5時) (レス) id: 4d4917b86c (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 雨鷽さん» 返信遅れてすみません、コメントありがとうございます!!そう言っていただけて光栄です…!頑張りますのでよろしくお願いします!! (2019年10月13日 9時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
雨鷽 - この小説、めっちゃ好きです!!頑張ってください! (2019年9月11日 21時) (レス) id: 7a91fc9f4d (このIDを非表示/違反報告)
ひろと(プロフ) - 犬田さん» コメントありがとうございます!!こういう設定大好物なもので、衝動に駆られて後先考えず書いてしまいました…へへっ(( 応援ありがとうございます(〃ω〃) (2019年8月27日 20時) (レス) id: b46ce5af38 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひろと | 作成日時:2019年7月21日 20時