一時だけでも幸せを (ページ36)

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善は急げページ36

新たな情報を掴んだのならまた聞き込みをおこなうだけだ(聞き込みだなんて昔読んだミステリー小説みたい)
聞き込む情報をお金を貸す人たちへと変えただけで出るわ出るわの情報の山

世の中にはこんな人がいるのね、と呟けば綺麗なだけの人間はいません、とブルックに返された
それもそうか
汚い世界ならマリージョアで散々見てきたのだし
それにしても…

『人身売買にも手を出してたなんて…』

「どこまで下劣なんでしょう」

『……ロードには聞かせられないわ』

少し離れたところで猫と遊んでいるロード
彼には絶対に聞かせられない

「Aさん、喉乾きませんか？」

『少し……』

「そこに店があったので買ってきますね」

あまり無理してはダメですよ
優しい声にありがとうと礼を返しブルックの背を見送った
初めて見た時は骸骨が話すのかとびっくりはしたが、そんなこと今は気にならない

「骨のおじちゃんどこ行ったの？」

『お水を買いに行ってくれたの。それと、おじちゃんなんて言っちゃダメよ？』

泣くか、怒りそう
何故かそんな気がする

『ロードはお母様のこと好き?』

「お母さんは大好きだよ!!」

『どんな人？』

えっとねぇ…
ちょっと困ったようなロードが可愛らしい

「時々怖いけどでもすごく優しいの」

『うん』

「歌がすごく上手いんだよ!!あとはね、ご飯も美味しい!!あと働き者だってみんなお母さんのこと褒めてる!!」

楽しそうに話すロードは心の底から母親のことが好きなのだろう
早く見つけたい
親を失う悲しみをロードにさせたくはない

『絶対見つけるから』

「ありがとう、お姉ちゃん」

「おやおや、お優しいことだ」

『ッ!!!!』

いつの間に
ブルックが歩いて行ったのとは別の方向から男が二人歩いてくる
一人の顔はサングラスでよく分からないが、もう一人は小太りな上にニヤニヤと笑みを貼り付けていた
この笑みは見慣れている
人を見定める気分の悪い笑みだ

『どなたかしら?』

「その子の母親の居場所を知っている者……と言えば話を聞いてくれますか?」

『……えぇ、いいでしょう』

あぁ気持ち悪い
この笑みが本当に嫌いだ