一時だけでも幸せを (ページ33)

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迷子の子ページ33

ナミの言っていた店へと近づいていくうちにあることに気づいた
店の前に幼い男の子が一人、ウロウロと悲しげな目で店の前を歩いている

「A!!?」

ナミとロビンには悪いが男の子に向かって走った

『こんにちは』

座って目線を預ける

「っ!!……こんにちは」

男の子は怯えた目をしたものの返事を返してくれる

『私の名前はA。君、名前は？』

「ロード……」

『歳は?』

「五歳……」

そっか
私は微笑んでロードの頭を撫でた

『お母様かお父様は？』

「お母さん…いなくなっちゃった」

『いなくなった…?』

「ちょっとA!!」

ナミとロビンが追いつき、私の後ろに立つ

「その子は…?」

『ロードって名前でお母様がいなくなったらしいの』

「違うよ…」

『ロード?』

「ほんとはね、怖い男の人に連れてかれちゃったの」

ロードの目には涙が浮かべられていた
それでも泣かないのは我慢強いのからなのか

『ロード…君はとても強い子なのね。詳しく教えてくれないかしら？』

「でも…」

『あなたの力になれるかもしれないから…ううん、力になりたいの。だから教えてくれる?』

ロードは何かを考え意を決したようにおずおずと口を開いた

ーーーーー

『話してくれてありがとう、ロード』

話を聞く途中、ロビンの提案で店の中に入り、ゆっくりと話を聞くことに決めた私たちはロードが語ったことに揃って眉をしかめていた
ちなみにロビンとナミは紅茶で私とロードはパフェ(子供っぽいとは思うけど欲求には抗えなかった)

「Aはどうしたいの？」

『ロビン……もちろん助けたいわ』

でも今の私には何かができる力は無い

ロードの話からするに母親は今捕えられているのだろう
怖い人たちがロードの母親を連れて行ったとロードは言った
すぐに戻るからと母親はこの店の前で待つようにと言付けて家を出ていったが時間になっても母親は来ない
そして私と出会った……

「考えられるのは金銭問題か痴情のもつれ…ってところかしら」

ナミの考えは私も同じ

『私は…ロードのために何かしたい』

自分に力は無いけれど
それでも

「まったく、そんな顔しないの」

『そんな顔…?』

「あんた今泣きそうな顔してるわよ」

ナミの指摘にロードが心配そうにこちらを見ているのに気づいた
いけない
私が泣けばロードに余計な心配をかけてしまう

「ロビン、どうする？」

「もちろん、助けるのでしょ?」