一時だけでも幸せを (ページ18)

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出会いはページ18

森の中を、私はただ一人で歩く
この島と、屋敷を管理してくれていた者の話曰く、屋敷の裏には川が流れているのだそうだ

ルワードもリリィも私のことを心配したが、すぐに戻ると約束すれば、心配そうにしながらも送り出してくれた

他の天竜人たちは、マリージョアの外の空気は汚れていると言うけれど、私はそう思わない

『なんて…綺麗なのかしら』

朝露に濡れた緑の葉も、森を飛び回る鳥達も
すべてがすべて新鮮で、綺麗で、心が安らぐ

『ふふっ…一緒に歩かない？』

こちらを見る動物たちに話しかけた
シカ、ウサギ、リス……
どの動物たちも私のことを不思議そうに見つめてくる

『川に行きたいのだけれど…案内してくれないかしら？』

そう話しかければ、言葉が通じたのか、私の前に出て、皆ゆっくりと歩き出した

小鳥たちがさえずり、私の周りを飛ぶ
動物たちは楽しそうに飛び跳ね、私の前を行く

この島に歓迎されている
そんな気さえした

『ついたのね…』

歩みの止まった動物たちに礼を言い前を見る

そこには、太陽の光にきらめく透き通った水の川があった

言葉が出なかった
緑に囲まれ、自然豊かな中で流れる清水
魚は自由に泳ぎまくり、動物たちはその水で喉を潤す

涙が出そうになった

こんな綺麗な光景は見たことが無い

心汚い人もいない
欲望も渦巻いていない
ただただ自由が、そこには広がっていた

『ありがとう……』

体をすりよらせてきたシカに、もう一度礼を言う

『あなたたちは…毎日これを見れるのね…羨ましいわ』

心の底からの言葉だった

心地よい風が頬を撫でる

今は動物たち以外に私一人
一人でこの景色を堪能出来る

「うひょー、川だ!!」

そう一人
リリィたちは屋敷にいる

「魚が見えるぞ!!あれ、食べれるかな?」

……一人のはずなんだけど

『誰?』

この島には私と島の管理人、屋敷の者たちしかいないはずだ
こんな声、聞いたことが無い

動物たちはも驚いて、頭をキョロキョロと動かしている

「ん？誰かいるなぁ…」

ガサゴソと向こう岸の草木が揺れる

「おぉ、いたいた!!って誰だおめェ…」

それはこっちのセリフだ

現れたのは麦わら帽子の男だった
歳は私と同じくらいか一つ上ぐらい

この人は……

『誰？』