素晴らしき嘘2 (ページ15)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:34,635 hit

15 ページ15

心配そうな智くんを横目に私はエレベーターに乗り込む。

智くんがエレベーター前で見送ってくれてるけど、他の社員がキョトンとした顔で私達を見る。

ドアが閉まると一緒に乗り込んだ同期の風間くんが、

風間：「…なにあれ？」

A：「…え、え？」

風間：「なにあんな二宮を心配そうな顔で見送ってたの、智くん？」

A：「そ、そう？あれかな、私今日ポカミスで落ち込んでたから心配してくれてたのかな？」

ポカミスなんてしてないけど。苦しい言い訳。

風間：「ポカミス？珍しいな、二宮が。ほんと智くんは二宮のこと昔っから気にかけてるよなぁ。」

A：「えっ、そうなの？」

風間：「気が付かなかった？お前がこないだ初めてプレゼンやったときなんかハラハラしながら見てたぜ、智くん(笑)」

A：「………。」

全然…気が付かなかった。

ってゆうか誰にでも優しい智くんだったから………。

風間：「まっ、あれだな、手のかかる部下ほど可愛いって(笑)」

A：「手のかかる部下ぁ？」

風間：「ほら、あれだよ、俺は筋道キチンと立てて行動する頭脳派だけどお前はなんっか見てて危なっかしいんだよ。仕事はキチンとこなすしミスも取り立てて大きなのはないけど、割と感とかインスピレーションで動くから。」

A：「あ、確かにそうかも知んない。」

風間：「だろ？」

得意そうに風間くんは人差し指を立てる。

そうか。

全然気が付かなかったけれど、それなりには気にかけられていたんだな。

ってゆーか和也の気持ちにも10年近く一緒に暮らしてて気が付かなかった。私どれだけ鈍感なんだろう。

A：「なんか…落ち込んできた。」

すると風間くんは慌てた様子で、

風間：「わ！そか、ごめんごめん仕事で落ち込んでたんだよな、追い討ちかけてごめんごめん！大丈夫！お前のポカミスなんてどうせたいしたことないだろ？お前はできる方だよ、ウンウン。」

勝手に勘違いした風間くんは思いっきり私の背中をドンドン叩く。

うう。今の私の心に重くのし掛かる。