子供20人 ページ21
貴方side
朝日が昇って、私の背中を赫く焦がした。
スーツ姿の人達は五条が腐った蜜柑と呼ぶ上層部の方々の遣いだろう。
(宮本 常を早く殺せ)と言う気持ちが伝わる。
「そんな急かさないでよー。……宮本 常は僕がこの後すぐ殺すからさ」
(お前らには絶対殺させねぇから)
「……あれー? 逃げなかったの?」
視界は既に塞がれていて見えないが、五条の声がする。
上層部、耳まで塞いでやりゃあ良かったのに(他人事)。
「そりゃあね」
「常なら逃げれたのにね」
私の呪法なら確かに逃げれたのかもしれない。
だけど、もう私に帰る場所も愛す人もいない訳で。
どこかで地獄に底は無いと聞いた。
私は地獄の底はあると思う。
でも、それは私の妄想の中だけに。
それに地獄に底が無かったら、中途半端も何も無い筈だが、きっと私の地獄は中途半端に値する。
白でも黒でもなく、白と黒のマーブルの様で、所々灰色な。
何者にもなれ無い私に、決定された色すら与えられないのかもしれない。
「……ある意味逃げているんだよ、今も」
夏油の意思から。
私の理想から。
現実から。
「ふーん」
五条は納得していない子供の様な声をあげる。
体はもう縄でキツく縛られ、私が本気でやっても解けないだろう。
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年4月1日 16時