子供19人 ページ20
貴方side
「派手にやったねぇ」
朝焼けの中、いつもとは異なり、硝子が煙草をふかしながら出迎えた。
「……まぁね」
頬についたかつての仲間の血を拭う。
中身は違っても、五条は夏油をもう2回も殺した事になる。
そりゃあ、いつもの28歳児のテンションにはならない訳だ。
「珍しいね。硝子がお出迎えなんて」
「まぁね。お出迎えは私だけじゃないよ。お客様だよ。最悪な、な」
硝子の後ろにはズラリとスーツ姿面々が並ぶ。
(ハハッ、何となく気付いたよ)
「顔認証。結果:同一人物でるある事ほぼ間違い無し……だってさ」
硝子からプリントを受け取り、見てみる。
顔認証だなんて面倒臭い事をしなくたって、私が自首すれば上層部は一気に殺しに掛かるのに。
恐らく私の写っていた写真と、今の顔隠し撮りされた物で合わせたのだろう。
10年前、写真嫌いの私が1度だけ写った写真があった気がする。
何て事無い平日だった。
『傑、何するんだよ。写真なんてどうでも良いだろ? 彼女と2人で撮れよ』
五条は夏油から背を向け、ムスーッとしている。
……私に親友取られちゃったの、悔しいのか。
『そんなに彼女が出来たのに嫉妬しているのかい? 悟ならすぐに出来るさ』
『そうじゃなくて! いやまぁそうなんだけどよ……』
五条はモゴモゴ言いながら机にダラリと寝る。
『ほらほら硝子も写ろ?』
『早くしろよー』
硝子はとっとと諦めたようだ。
『ほら、五条』
『……はいはい、早k(『ハイチーズ』オイッ!』
私と夏油が離反する前日の、よく晴れた日だった。
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年4月1日 16時