子供17人 ページ18
貴方side
「常」
思わずピクリと体が跳ねた。
「……私は栞ですよ?」
最高な作り笑顔を浮かべ、五条と対面する。
ねぇ五条、
「……常、ごめんね」
堰を切った様に泣きたい気持ちが溢れる。
「ごめんね」なんて言わないで。
私を可哀相目で見ないで。
五条は目隠しを外す。
五条の六眼に私の心の声まで見透かされた気がした。
「常はさ、何で非術師を殺したかったんだよ?」
言い方が高専の時と変わらなくなり、まるで高専の時に戻った様な気がした。
「……皆を、私の大切な人を苦しめるのは、誰かなって」
ずっとずっと、悩んでいた。
『猿め……』
「大切な人が苦しむ位なら……」
『原因療法……?』
「その他全てが不幸な方が、私が辛くないの」
完全なる私のエゴ。
私の大切な人達が幸せになる為では決してない。
私が辛くない為だ。
「常、宮本 常。俺、五条 悟はお前の死刑執行人として、お前を殺す」
「……そう」
思ったより心は凪いでいた。
高専に来てから、何となくそんな気がしていたから。
もしかしたら、心のどこかではそんな死を望んでいたのかもしれない。
漫画のヒロインなら、ヒーローの死後もヒーローの意思を継いで、それを叶えるに違いない。
最期まで決して諦めず。
だが、私達は言うならばダークヒーローだ。
ヒーローだったなんて口が裂けても、名乗れない程、極端に路線変更した者だ。
私はダークヒーローの意思を継げる程の力も無かったし。
「煮るなり、焼くなり好きにしろ。降参だ降参」
腕をユルリと上げた。
白旗を振るジェスチャーをする。
やはり闇堕ちした裏切り者には、最強なヒーローに殺されるのが1番。
だから、
「
夏油を殺したのも、これから私を殺すのも。
「煮るなり、焼くなり……ねぇ」
五条が自身の蒼い眼の端をキュッと細める。
「じゃあ今常が、どこのどいつとつるんでいるのか、洗いざらい吐いてもらおうか!」
「……は?」
皆、「煮るなり、焼くなり」って使わない方が良いよ。
『どうせ此奴は裏切るぞ』
漏瑚の言葉が思い出された。
強ち間違っちゃあいなかったね。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:陽毬 | 作成日時:2021年4月1日 16時