子供16人 ページ17
五条side
たった数日間の出張だった。
帰って来たら、皆と栞がいた。
ゾクリとした。
高専の常と瓜二つ。
気持ち悪い程に同じ。
「あ、五条先生、出張終わったんだ」
虎杖の声に栞はビクリと体を跳ねさせ、僕から顔を背ける。
「……うん、ただいま」
栞の僕が来る前の笑顔と常の傑といる時の笑顔が重なった。
「先生、具合悪そうだけど大丈夫?」
悠仁が顔を覗き込んで来る。
いつも通り、いつも通りに……。
「ごめんね、出張から戻ったばっかりで疲れているみたい。硝子の所行って来る」
心配そうな悠仁の顔から背き、医務室へ向かい出す。
心の悩みが飽和量。
もう抱え切れない。
僕は、俺は、どうすれば良いんだ?
「＿＿って思ってぇ」
「言っている内容のテンションと言っているテンションが恐ろしく違うぞ五条」
硝子は顔を顰めながら言う。
そりゃあそうだ。
でも、こんな言い方でもしてないとやってらんないし。
「……まぁ私も萌黄 栞が宮本に似ているとは思ったけど」
硝子が髪をクルクルしながら無感情に言う。
きっと心の内は大暴れだろうに。
いや、硝子ならそうでもないのか。
「第一お前がそれを決めるべきだろう? お前自ら百鬼夜行が収まってから、宮本の死刑執行人になる、って立候補したんだから」
「……嫌な現実を突き付けて来るなぁ」
そうだ。
自分から立候補したのだ。
宮本 常の死刑執行人に。
まぁ権力を効かせて有無を言わさずなったんだけど。
「……私なら殺すな」
硝子は髪を弄るのを止め、溜め息を吐く。
「これ以上、ここにいる限り誰かに殺される。上層部に殺させるか、私が殺すか。その2択しか残っていない」
硝子は言い終わると、「あ」と声を上げ、ニヤリと笑った。
「お前なら上層部の奴ら全員殺して逃がす事も出来るけど」
「……質の悪い事言わないでよ」
余計悩みそうかと思えたが、心は決まった。
「……硝子。僕、常を＿＿よ」
「……そうか」
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作者名：陽毬 | 作成日時：2021年4月1日 16時
