子供12人 ページ13
貴方side
高専に来てから7日。
つまりは1週間。
その真夜中。
私が真人と漏瑚と共に逃げる日。
『さっき、真人と漏瑚を出したよ。すぐ行くと思う。部屋は確認したから、部屋で窓を開けて待っていて』
窓を開け放ち、外から2人が迎えに来るのを待つ。
「……条件はロマンチックな筈なんだけどなぁ」
何せ迎えに来るのは短気なお爺ちゃんとサイコパスだからなぁ。
この1週間を思い返す。
虎杖。
釘崎。
伏黒。
後、硝子と……五条。
「楽しかったなぁ」
窓から入って来た夜の風が、私の髪を梳く。
楽しかった。
普段もう夏油じゃない夏油に縋って、ボロボロになりながら任務を熟し、帰ったら短気なおじいちゃんに「弱い弱い」といびられ、サイコパスに慰めてもらう。
日々が平穏じゃなくなって、頭が可笑しくなりそうだったから。
夏油と一緒に高専から逃げたのは後悔していないし、これからする事も無いだろう。
『常……君は着いて来なくとも良いんだよ』
『良いの。私は夏油に賛成する。夏油が大好きなのとは別に、賛成出来る』
『絶対に後悔しない?』
『しない。する訳ない』
ただ1つ、それとは別に後悔するなら、
「あの時、夏油を追って死んじゃえば良かったかな」
ヤンデレとか、そんなんじゃなくって。
いや、もう人を何人も殺している私がヤンデレとか普通とか語るべきじゃないのかもな。
何となく、夏油までいない世界は非術師がいないだけの世界よりもっと暗い気がするの。
「ほぅれ、迎いに来たぞ」
気付けば、目の前に漏瑚と真人がいる。
「ありがとう」
部屋に物は置いていなかったので、これで心置き無く攫われられる(形式上)。
……「心置き無く攫われる」って可笑しくけど。
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年4月1日 16時