盛者必衰の理 ページ39
｢A｣
不意に名前を呼ばれ、すぐに振り返った。
不思議そうな顔をしたマルコが、｢ラニアにはあったのかよい｣なんて聞いてくる。
｢会ったよ。父さんとイチャイチャし始めたから避難してきた｣
｢あァ…想像がつくねィ｣
あきれ混じりに笑って、最終的にはため息をついた。
あのTPOを守らない両親はどうしようもないのだ。諦めよう。
｢あァ、そうだ。オヤジが呼んでたぞ｣
｢じいちゃんが？｣
｢なんでも大事な用事らしい｣
｢それを早く言ってくれよ！｣
仕事をマルコに放り投げて(自分の隊の隊長)船長室へ急ぐ。
じいちゃんからの大事な用事なんて滅多にないことだ。父さんたちの話よりそっちを先に聞きたかった。
大したタイムロスにはなっていないが。
｢じいちゃん、Aです｣
｢入れ｣
部屋の前からでも感じる威厳。
無意識に唾を飲み込んでから、扉を開けた。
デカイ椅子に鎮座する最強。
だが、数年前より少しも小さく感じるのは、恐らく体調のせいだろう。
いつからか注されている点滴。
ナースやマルコ、船医たちが医療を駆使して施している治療。
当の本人は酒を止めないから船医チームが頭を悩ませているわけだが。
｢…分かるか。俺の状況が｣
｢！…医学なんて一ミリも分かんねェけど、雰囲気としては、なんとなく｣
｢グララララ…そうか。老いたな、俺も｣
人は皆老いていくものだ。
それは抗いようのない理屈。
じいちゃんもそれが分かっているから、ただ静かに達観しているんだろう。
それでも幸せそうな顔をして笑うものだからなにも言えない。
本人が幸せなら、それ以上のことはないだろう。
｢こっからが本題だ。
＿＿最近、嫌な予感がしてならねェ｣
｢嫌な予感？｣
｢海の風が違って感じることが多くてな。そういうときは、大体嫌なことが起こる｣
｢なるほど…｣
長年の勘ってやつだろうか。
いつもの日常に現れた違和感。
この大切な家族が、脅かされる不安。
昔なら不安なんて一ミリも芽生えることはなかったのかもしれない。
しかし、最強と謳われた白ひげも歳には勝てないのだ。
老いていく体に気付いているからこそ、不安に襲われたのだろう。
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ライキ - 反応が遅れてしまい、申し訳ありません！更新ありがとうございます！！陰ながら応援させてもらってます！！これからも楽しみにしてます！ (2022年12月4日 19時) (
レス) id: c3cdfe919e (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 哀羅さん» ありがとうございます！ (2020年11月16日 16時) (レス) id: 93b38c73d0 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 柳さん» 今、フォローさせてもらいました！！！ (2020年11月16日 7時) (レス) id: 4b111e8b4e (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - ありがとうございます！フォロバさせていただきますね！ (2020年11月15日 23時) (レス) id: 93b38c73d0 (このIDを非表示/違反報告)
哀羅(プロフ) - 明日、Twitter探してフォローさせてもらいます！ (2020年11月15日 22時) (レス) id: 11aacecd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柳 | 作成日時：2019年10月18日 20時
