第29話 ページ30
(名前)side
どうしてあんな事言ってしまったんだろう。
白石くんの端正な顔が歪んだのが、瞼の裏にちらつく。
僕がベッドの上で膝を抱えていると、ガチャリと部屋の扉が開いた。
?「今、大丈夫ッスか?」
『赤也くん……』
赤也くんは僕の隣に腰掛け、ぽつぽつと話し始めた。
赤「最初先輩と会ったとき、地味なやつだなーって思ってたんッス。
けど、毎日過ごしていくうちに、強い人だなとも思いました」
『自慢じゃないけど、僕、テニス強いからね』
すると赤也くんはゆるゆると首を横に振った。
赤「俺が言ってるのは、テニスのことじゃないッス。
クラスで困ってる人がいたら、助ける。
俺だって、何回も(名前)先輩に助けてもらったんスから。
けどそれって、とても大変だと思うんスよ。
だから先輩は、尊敬するッス」
いつもとは打って変わり、まじめな表情でそう言う赤也くん。
『ねえ、赤也くん』
赤「何スか」
『頭が冷えたよ、ありがとう。
よかったら、食堂まで案内してくれる? まだ慣れてなくてね』
すると赤也くんはいつもの明るい笑顔で、元気よく返事をした。
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作者名:わかばまーく | 作成日時:2018年5月1日 20時