08 ページ9
.
放課後、帰宅部部長の私はHRが終わった瞬間直ぐに教室を出て、昇降口から門まで早足で行くと、
見たことのある特徴的な白い髪。
びっくりするぐらいの大きな身長。
そして、サングラスをしていても分かるその高い顔面偏差値。
言うまでもなく、昨日の人。
通りかかる女子たちが、振り返ってキャーキャー言っててもお構いなしに携帯を弄っている。
無視してもよかったけど、後が怖い。
『なんでいるんですか』
門に立っている不審者に話しかけると、ダルそうに顔をあげる。
あぁ、多分さっきまで沢山の女子に話しかけられてたんだろうな、私もその類かと勘違いしたんだろう。
だけど、私と目を合わせた瞬間、パァッとわかりやすく明るくなる顔。
「は?昨日言っただろ。
もう忘れたのかよ」
『忘れたとかじゃなくて、なんで私の学校わかったんですか』
問い詰めるように聞くと、ん、と私に名刺ぐらいの大きさのモノを渡してくる。
素直に受け取って、見てみると。
『はぁああ!?
ちょ、これ私の生徒証!!』
「うるせえな。
だから、なんだよ」
『だから、なんだよ?!
アンタやっぱ常識ないでしょ!』
生徒証を盗んで普通の顔してるとなやばすぎる。
頭とち狂ってんじゃないのかな。
「ねえ、やっぱ話しかけてみようよ」
「えー?でも誰かと喋ってるみたいだよ」
「てか、うちの制服じゃんその子」
「あれって…5組のAさんじゃない?」
はぁ、とため息をついて心を鎮めると、落ち着いたからかしっかりと聞こえてくる周りの声。
やばい、注目を浴び始めた。
これがあの人達の耳に入ったら。
ヒュッと喉が詰まった感覚がして、急いで泥棒野郎の腕を掴んでグイっと引っ張ると、
おい急になんだよ、とかなんとか文句を言ってるけど気にしてらんない。
早くこの場から離れなきゃ。
.
.
『ここまで来れば平気か…』
辿り着いたのは人気のない公園。
早歩きをし過ぎたせいで少し息が上がるから、その辺のベンチに座った。
「あ"ー、疲れた。
オマエほんと急にどうした」
『あ、いや、ごめんなさい。
何かそこで買ってくる』
同じ場にいると少し居心地が悪くて、
ベンチから立って、自販機に足を進めた。
.
1880人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
般若様 - 面白かったです。他の作品も見に行きますね。 (2022年3月31日 1時) (レス) @page36 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇最高 - 自分が探し求めていたような小説を見つけられました!ありがとうございます!!!!! (2021年11月20日 0時) (レス) @page36 id: 243594f76c (このIDを非表示/違反報告)
呪術、魔入間、魔主役、東方、東リベ大好きです(・д・) - この小説大好きです! これからもお体に気をつけて頑張ってくださいm(_ _)m (2021年10月8日 6時) (レス) @page36 id: 63dcc81372 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 高専時代の悟君が好きすぎて…!尊いが渋滞している (2021年4月10日 22時) (レス) id: 70ead44d6a (このIDを非表示/違反報告)
ドナルド(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!!更新されるたびに食い入るようにみてます笑 これからも応援してます!! (2021年3月31日 14時) (レス) id: d7cf4abf04 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しずく | 作成日時:2021年3月26日 20時