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「クズに惚れられるなんて可哀想だね」
『え?』
自販機に向かう途中、ふと隣にいた硝子に話しかけられた。
可哀想…。まぁ、可哀想か。
1週間前、いや4日前まで普通の高校生として生きていた私が、
呪術とかよくわからないものを知り、そしてそこの界では有名な家系の御曹司さんに告白されて、側からみれば可哀想なんだろう。
『まぁ、悟くんといると楽しいからそこまで苦ではないかな』
「クズが惚れた奴だから、どんな人間か気になってたけどAも変人だね」
『酷すぎ』
久しぶりに女友達と話して、笑って、なんとなく幸せというものを感じた。
明日になればまたいじめられるんだろう。
怖さとかはもうないけど、痛いのは嫌だなぁとか考えていると自販機の前につく。
「ほら、Aも買いなよ。
あいつの金だし」
『じゃあ、お言葉に甘えて…』
私が好きなグレープジュースを飲もうと思って、下のボタンを押すために腕を伸ばす。
すると、掴まれる私の腕。
勿論、自分で自分の腕は掴むわけがないから、掴んだ犯人は硝子で、硝子を見るとなんとも形容し難い表情で私を見ていた。
『どうし「なに、その痣」…』
全身の血液が、スッと引いた感覚に陥った。
硝子の目は気怠さを持っているものの、真っ直ぐと私の目を貫いていた。
あぁ…、この子には言い訳は通じないんだろう。
逃げても無駄なことがわかったから、私は少し下を向いてから意を決して顔を上げ口を開く。
『とりあえず、話すからそこ座ろ』
硝子は納得したのか私の腕を離して、後ろにあったベンチに座り、ん、と声をかける。
素直に私もそこに座って、この痣の原因やら全てを話すことにした。
『高校にあがってからなんだけどね、私いじめられてんだよ。ちなみに現在進行形』
「原因は?」
『わかってたら苦労しないって。
多分暇つぶし程度のおもちゃだと思われてんだよ』
ほら、私普通で地味だしさ、と付け加える。
『だから、私もなんで?って思ったよ。いじめられる原因がわからなかったから。
でもいじめになんて原因も、理由も相手にはないんだよ』
最初こそ辛くて、地獄の様な毎日だったけど今になれば慣れたものだと伝えると、硝子は少し顔を歪めた。
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般若様 - 面白かったです。他の作品も見に行きますね。 (2022年3月31日 1時) (レス) @page36 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇最高 - 自分が探し求めていたような小説を見つけられました!ありがとうございます!!!!! (2021年11月20日 0時) (レス) @page36 id: 243594f76c (このIDを非表示/違反報告)
呪術、魔入間、魔主役、東方、東リベ大好きです(・д・) - この小説大好きです! これからもお体に気をつけて頑張ってくださいm(_ _)m (2021年10月8日 6時) (レス) @page36 id: 63dcc81372 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 高専時代の悟君が好きすぎて…!尊いが渋滞している (2021年4月10日 22時) (レス) id: 70ead44d6a (このIDを非表示/違反報告)
ドナルド(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!!更新されるたびに食い入るようにみてます笑 これからも応援してます!! (2021年3月31日 14時) (レス) id: d7cf4abf04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2021年3月26日 20時