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「ふーん、お前どんくせえのな」
『一言余計なんだけど』
口ではこんなこと言ってるけど、深く掘り下げられなくてよかったと心底思う。
行く宛がない私たちはその辺をフラフラと歩くことにしていたけど、今更用事があることを思い出した。
『あっ、スーパー』
「あ?なんだそれ」
『いや、冗談でしょ』
スーパーを知らない人間なんてこの世に存在することの方がびっくり。
けど、悟くんの様子を見る限り本当に知らなそうで、頭を抱えた。
『食べ物とか、色々売ってるところだよ。
今日の夜ご飯とか買うの』
悟くんはどうする?帰る?と隣に歩いている悟くんにもう一度話しかける。
帰る?じゃなくて帰ってくれ、の方が本心に近い。近いというか、本心だ。
「んー、面白そうだからついていく」
『めんどくさいことしたら、すぐ帰るからね』
「はーい、ママ」
『こんな大きい息子産んだ覚えはありません』
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「俺んちの別荘ぐらいのデカさだな」
『どんな別荘だよ。
あと悟くんといると目立つんだけど』
スーパーに入った途端、少し目がキラキラしている悟くん。
なんか犬みたいで可愛いとか思ったのはここだけの話。
「知らねえよ。
オレお前以外の女興味ねえし」
『はいはい、そうですか』
「お前ほんとに照れないのな」
その言葉に照れるより、この状況の方が恥ずかしくて今すぐここを飛び出したい。
周りの人が私たちの前を通る度にこちらを見る。
正確に言えば悟くんを見ているんだろうけど、悟くんを見たついでに私を見ていく感じ。
人に見られることなんてないから恥ずかしすぎる。
「なぁ、オレお菓子食べたい」
『あーじゃあ、あっちだよ。
ほらいくよ』
カゴを持って歩き出すと、一歩後ろに下がって悟くんも歩き出した。
本当に母親になった気分。
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般若様 - 面白かったです。他の作品も見に行きますね。 (2022年3月31日 1時) (レス) @page36 id: 37fa50b5c3 (このIDを非表示/違反報告)
薔薇最高 - 自分が探し求めていたような小説を見つけられました!ありがとうございます!!!!! (2021年11月20日 0時) (レス) @page36 id: 243594f76c (このIDを非表示/違反報告)
呪術、魔入間、魔主役、東方、東リベ大好きです(・д・) - この小説大好きです! これからもお体に気をつけて頑張ってくださいm(_ _)m (2021年10月8日 6時) (レス) @page36 id: 63dcc81372 (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 高専時代の悟君が好きすぎて…!尊いが渋滞している (2021年4月10日 22時) (レス) id: 70ead44d6a (このIDを非表示/違反報告)
ドナルド(プロフ) - めちゃめちゃ面白いです!!更新されるたびに食い入るようにみてます笑 これからも応援してます!! (2021年3月31日 14時) (レス) id: d7cf4abf04 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2021年3月26日 20時