赤ちゃんか? ページ40
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私の後ろに立っていた冥さんが扉を開けた。
気遣ってくれたのかどうかわからないけど、私の前に立ってくれて、情けない顔が五条からは見えなくなっている。
けど、私の感情は変わらなくて、ずっと俯いて突っ立っていた。
「A?座らないの?」
歌姫先輩が気にかけてくれるが、その言葉に返す余裕がなくて、泣かないようにするのが必死だった。
「A?」
『ッ…』
流石に不思議に思ったのか、五条が立ち上がりこちらに近付いてくる。
あぁ、もうだからやめてって…。
好きじゃないならそんなに優しい声で呼ばないで。
五条がそっと私の肩に触れるのがわかった。
が。
パシンッ
乾いた音が部屋の中で響く。
『触らないで。
なんとも思ってないなら気にかけないで…』
「は、A」
五条にもう一度名前を呼ばれて、ハッとする。
やってしまった。
私の肩に触れた五条の腕を思い切り叩いてしまった。
パッと顔を上げると目に入るのは、
五条の後ろで驚いてる歌姫先輩の姿、と
揺らいでいる蒼。
『ぁ….、ご、ごめん…』
その場にいるのが苦痛で、情けないけど、部屋を飛び出す。
「Aまて…!!」
後ろから五条の呼び止める声が聞こえるけど、気にしないで走り続けた。
..
あの後、私は硝子のところに行って恥ずかしながら大泣きした。
あんなに泣いたの赤ちゃんの時以来じゃないか?ってレベルで。
交流戦の時、教員は別室でモニターを見るんだけど行きたくない。
確か私の隣五条だったし。
けど、そんな我儘言えるわけもなく、諦めて部屋に戻ることにした。
..
「A、硝子から聞いたわ。
ほんとにごめん、私のせいで…。
あと、Aは勘違いしてて、」
部屋に入ると、真っ先に歌姫先輩が私のそばにやってきて、小さな声で話す。
『いや、先輩のせいじゃないんで、私が勝手にやったことですし。
もうこの事は諦めたんで平気です』
「A…」
上手く笑えてるだろうか、心配になるけど歌姫先輩の横を通り過ぎて席に座る。
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なち(プロフ) - 楽しい作品読ませていただいてます!ありがとうございます。本当ならここで作品の感想とか書くのでしょうが、頭痛の表現がめちゃくちゃ共感してしまい衝動的にコメントしてます。。除夜の鐘を鳴らされてる気分本当に共感しかないです!これからも読ませていただきます! (12月3日 0時) (レス) @page29 id: 95ed38705c (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - リサっペさん» 返信遅くなり、大変申し訳ありません。続編はこちらの都合上削除させていただきました。更新がうまくできておらず、URLが貼られている状態になっていました。申し訳ありませんでした。 (2021年6月26日 19時) (レス) id: 467d149bfa (このIDを非表示/違反報告)
リサっペ(プロフ) - 続編のUR Lとべません!! (2021年6月6日 21時) (レス) id: 8897e851e9 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 黒蝶 かぐやさん» 返信遅くなり申し訳ありません…!!なるほど!めちゃくちゃ良い案ありがとうございます…!!!使う機会がありましたら使わせていただきます(_ _)ありがとうございました〜! (2021年4月17日 15時) (レス) id: 467d149bfa (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶 かぐや - すいません。色々と考えてみたんですが、火を使っているとのことなので...こんな感じです。 (2021年4月2日 10時) (レス) id: 57d0ae7b34 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しずく | 作成日時:2021年2月15日 19時