【文スト】弐・友人が話していた人間失格の息子になった件について【男主】

六十八話＿思い出せない ページ36

Aをよしよしと褒める太宰に広津は恐る恐る声を掛けた。




広「コホン、太宰さん」


太「嗚呼、ごめんね広津さん。話を戻そう。私この銃…昨夜見たよ」




太宰は立ち上がり昨夜の出来事を思い浮かべた。




太「と云う事は武器庫の襲撃者はその直前に私達を襲った事になる。ならあれは陽動か？……フフっ、これは面白い。予想するよりずっと愉快な連中だよ、此奴等は」




太宰の退屈な日常に暇つぶしとなる集団が入ってきた。





「わかんないねぇベイリー」


ベ「ワン！」





ベイリーは主人であるAに撫でられ大人しく座って同意した。





太「広津さん、今回奴等が襲ったのはポートマフィア最高保管庫の一つだった。そこに正規の暗証番号で侵入している。番号は準幹部クラスの人間しか知らない」


広「真逆…マフィアの中に裏切り者が？この組織の正体、判らぬのですか？」



マフィアの裏切り者の末路は一つだ。

それは処刑。

処刑＿＿即ち死を意味する。

例えポートマフィアから逃げたとしても最後には捕えられ冷たい地下でその時を迎える。

それも拷問の末だ。





太「うちの部下が昨日の捕虜を拷問して情報を吐かせようとしたのだけど、一瞬の隙を着いて奥歯に仕込んだ毒を煽って自害したのだよ。唯一つ聞き出せた。敵の組織の名前は＿＿＿＿＿」




＿＿＿＿＿＿"ミミック"




「みみっく？」


太「どうかしたかい？」


「ううん」




"ミミック"


何処かで聞いた名前だ。





＿＿でも、思い出せない。

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