百四十九話_敦、初仕事 ページ35
国木田は太宰への仕置が終わったのか呆れた顔で別部屋から姿を現した。
国「そいつは密輸業者の類だろう。軍警が幾ら取り締まっても船虫の様に湧いてくる。公安都市の宿業だな」
Aは別の部屋で国木田に伸された太宰の姿を見て仕方なく助けに入った。
これでも父親だ。
「パパぁ、だいじょーぶ?」
太「国木田君ってば、私にあんな事やこんな事を…!」
「ふぅん」
太「てのは冗談だよ。__今日は与謝野女医の出番かな」
「どーいうこと?」
首を傾げるAに太宰は内緒話をする様に耳に顔を近づけた。
太「あの可憐なお嬢さん。香水で匂いを消したと思ってるみたいだけど微かに血の匂いがした。きっと、裏の人間だ」
「あ、確かにベイリーがすっごい匂いを嗅いでたよ?」
太「きっと、あの子は人間の倍、嗅覚が良いから気づけたんだろうね」
犬の嗅覚は人間の三千倍から一万倍、加えて幼少から裏の世界で血の匂いを頻繁に嗅いでいたベイリーには楽勝だったようだ。
「ベイリーってすっごいね」
***
初仕事で緊張と不安を抱えている敦に国木田が一つ忠告する。
国「おい小僧。不運且つ、不幸なお前の人生に些かの同情が無い訳でも無い。故にこの街で生きるコツを一つだけ教えよう」
国木田は手帳から一枚の写真を取り出した。
写っているのは黒衣を纏った男性だ。
国「此奴には会うな。会ったら逃げろ」
敦「この人は……?」
太「マフィアだよ。最も、他に呼び方が無いからそう呼んでるだけだけどね。
A、そこに資料あるからこっちでお茶飲みな」
「うん」
国「港を縄張りにする凶悪な犯罪組織。奴らは『ポートマフィア』と呼ばれている。この街の黒社会で最も危険な連中だ。中でもその写真の男は探偵社のメンバーでも手に負えない危険な奴だ」
探偵社の中でも上位に入る程優秀な国木田でさえ怯む相手だ。
敦の中で不安が大きくなってくる。
敦「何故、危険なんですか…?」
国「そいつが異能力者だからだ。しかも、殺戮に特化した頗る残忍な異能力で軍警でも手に負えん。俺でも奴と闘うのは御免だ」
異能力者。
つい最近異能力者とはどのような者かはっきり判ってきた。
敦「この男の名は……?」
国木田は重い口を開き一言。
国「芥川だ」
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スワ(プロフ) - ミスターさん» いえいえ全然大丈夫ですよ!フョードル好きなので書くのが楽しみです! (2022年2月9日 11時) (レス) id: d942560228 (このIDを非表示/違反報告)
ミスター - でも楽しみにして待ってますね。 (2022年2月8日 18時) (レス) id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
ミスター - ありがとうございます!無理言ってすいません!文ストキャラが大好きでついすいませんでした! (2022年2月8日 18時) (レス) id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
スワ(プロフ) - ミスターさん» フョードルが出てくるのはだいぶ先かと思われます💦出る際にはきちんと話の流れを考えたいと思っております! (2022年2月6日 17時) (レス) id: d942560228 (このIDを非表示/違反報告)
ミスター - フョードルさんはいつ出てくるんですか!夢主くんを可愛がる所見てみたいです!よろしくお願いします! (2022年2月6日 10時) (レス) id: ae77e7925b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:スワ | 作成日時:2021年11月19日 18時