君は僕の心を奪う吸血鬼【na×kn】

2話 ページ3

流血表現があります。
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na視点

あれから無我夢中で家に走った。
玄関に荷物をドサっと落としてベッドに身を投げ枕に顔を埋める。

ぽつり…ぽつり…
俺の心を表すかのように外では通り雨が降っていた。
そのまま雨はザーッと強烈な滝に変わり窓を濡らす。

「うぁぁァァアア！」

頭がガンガンと痛む。
あぁめんどくさい…、何でこんな体で生まれてしまったんだろう。

みんなは普通はやだとか変わっているのはやだとかわがままを言う。
だけど俺は違う。俺には選択肢がなかった。
普通にはどう頑張ったってなれない。
生まれた時から他の人と違くて、当たり前だと思っていた日常が気づいたらなくなっていた。

「血…ｯ…血が欲しい…ッ」

ガブリ
鋭く尖った牙が自身の左腕に突き刺さる。

「い"ッ…あ"ぁ"っ…」

痛いけど美味しい。
流れ出る鮮やかな赤色をした液体を飲む。
何回噛んだかわからない腕は穴だらけで人にはとてもじゃ無いけど見せられない。

そう、俺は生まれつき吸血鬼。
親から代々受け継がれて来た血を飲まなければ生きていけない種族。
もちろん普通の人間が食べるようなご飯を食べ過ごすのだが、血を飲まなければ生きてはいけない。

俺は親に捨てられた。人の血が飲めなかった。
出来損ないだと言われ続けたが、誰かも知らない人の血をもらうなんてことは恐ろしすぎた。

もし…、もしきんときがみんなが俺が吸血鬼だって知ったらどうするんだろう…。
売られるんだろうか、研究されるんだろうか。
みんなに嫌われて仲間外れにされて殴られて、、、考えただけで体が震える。

まず同性愛ですら難しいのに何で俺は…。
無理だとわかっていても諦められず引きずっている自分が情けない。

「明日謝んないと……」

ぶるーくみたいな人を癒す能力も
シャークんみたいな人を笑顔にさせる能力も
スマイルみたいな人を感心させる能力も
きりやんみたいな人を気遣う能力も
きんときみたいな人を惹きつける能力も無い俺と
一緒にいてくれてありがとう…っ

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