傷付いた訳ありの悪の花には愛情を 2【BTS】 (ページ47)

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花びら97枚目-TH- ページ47

最後、退場する前に卒業生代表の挨拶があって、俺達含め保護者の方々が首を傾げる。

司会「卒業生代表の挨拶」

司会進行役の先生がそう言った瞬間、生徒達だけでなく先生方の顔にも緊張が走る。

司会「卒業生、在校生、起立！！」

今まではバラバラだったのに、その時だけはザッ…と立つ音が綺麗に揃った。
壇上に上がって行くのはAだ。

…なんでAが関係すると、こんなにも空気が緊張しているのだろう。

司会「礼！…着席」
「…最初で最後の生徒会長以外の卒業生代表の挨拶になります。私もなぜ選ばれたのか分かりませんが、皆さんに聞きたい事があります」

そう言ったAの声がマイクに拾われて、体育館内に響き渡った。
1年から3年まで居て、こんなにも緊張感を漂わせる事が出来るのはAだけだろう。

だって、俺達に向けるような温もりを含んだ声じゃなくて突き放すような冷たさを纏ってる声を出しているんだもん。

次の瞬間、俺達は耳を疑うような事が聞こえた。

「…この高校、楽しいですか？私の機嫌を悪くしないように、顔色を見ながら過ごして来たこの高校が」
BTS「は…？」
「楽しくないですよね？でも悪い噂は無くなって私より下の子達がこうして沢山入って来たけれど…私が居なくなった瞬間、女の子にも手を出してる後輩達が増えたらしいですね…私がこうしてフードを深く被っているので皆さんに表情は分からないと思いますけど…この通り、呆れてます」

そう言って、フードを取った。
すると、生徒達だけでなく保護者の方々もザワつき始めた。

それはそうだろう。
今や有名なトゥミョンが壇上に立って、呆れたような表情を見せているのだから。

「嫌われ紅一点のトゥミョンとしては、良い学校かもしれませんけどね…私はつまらなかったですよ、この学校なんて私の機嫌取りしか居ないんですから…最後に、男同士でやるなら何とも言わないし思わない…ただ、第三者や女の子に手を出してる奴は式の後、中庭に来るように…手を出される恐怖を体感させてあげる」

そう言って、持っていたマイクをその場に落とした。

ハウリングする音が体育館の中に響き渡る中、Aがふと上を向いた。
俺達と目が合った瞬間冷たさを纏った瞳が温もりを宿して目を見開いた後、嫌そうな顔をしたけれど、やっぱりその口角は少しだけ上がっていた。

…可愛いなぁ。