花びら83枚目 ページ33
いつ髪を切りに行こうか悩んでいると、2つ目の話になった。
PN「…それで、Aの話だけど…これ、メンバー達には言わないであげて欲しい、言うとしたら自分の口で言いたいらしいから」
MN「分かりました」
PN「…A、話すかい？」
「っ…」
自分の口で言うのが正しいと分かってる。
ケジメでもあるから。
ただ…。
怖いんだ。
距離を取ってた時とは違って、今は距離感がゼロに近いから。
どうでも良いと思ってたのに、こんなにも大事な存在になっていたから。
マネージャーさんも、私の事を考えてくれて面倒を見てくれてるから、家の事を知られてしまうのが怖いんだ。
PN「言いにくいなら僕が言おうか？」
「っ、だ、だい、じょうぶ…です」
MN「…A、ゆっくりで良い…さっきも言ったけど、家の事を知っても離れて行かないし、差別もしない…だから、教えてくれないか…？」
優しく手を握って、そう言ってくれたマネージャーさんに俯きながらぽつりぽつりと話し始めた。
話してる時も言葉に詰まれば、深呼吸するように促してくれたりした。
「…こ、れで…全部、です」
包み隠さず私の家や過去、全てを教えた。
勿論、手首の墨や心臓の裏側の背中にあるサソリの墨も見せたり教えたりした。
泣きはしなかったけど、ずっと震えていた。
こんな事、初めてで裏社会の仕事なんか出来ないんじゃないかと自分でも思ってしまう。
そんな事を考えていたら、温もりに包まれた。
「っ、え？」
MN「ごめんな…そんな苦しい思いしながら俺とか彼奴らに接してくれてたなんて、気付かなかった」
「いえ…こちらが勝手にしてただけです…だから、謝らないで下さい…私が、こんな立場だから…」
MN「…Aは悪くない、大丈夫だ」
そう言って、あやすように私の背中をトントンとリズム良く軽く叩いてくれた。
心地良くて、さっきまでの苦しさが何処かに行った。
少しだけ話してから、会議室から出た。
練習室に向かうと、先生に教えて貰いながら皆が練習していた。
…キラキラして、私なんかが触れてはいけない人達。
JK「あっ！マネヒョンお疲れ様ですっ！ヌナもお疲れ様！！」
それでもニッコリと可愛く笑って私を待ってくれてる弟が居る。
「…うん、ありがとう」
そう言えば優しく微笑んでくれるオッパ達や同い年が居る。
それが幸せだと感じ始めたのは、いつからだろう。
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作者名：秋桜 | 作成日時：2022年8月7日 22時
