傷付いた訳ありの悪の花には愛情を 2【BTS】 (ページ27)

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花びら77枚目ｰJKｰページ27

JKside

やってしまった。

その言葉が俺の頭の中を埋める。

自嘲気味に笑ったヌナが、今まで見て来た中で小さく見えて。
少し踏み込んだ話を聞いてみれば、無意識なのか目線は少し下に向けていて呟くように話したヌナが今にも消えそうで。

「…母親は小さかった私を庇って死んじゃって、父親は私の事に興味は無いよ…私は唯一の跡継ぎで、使い物にならない状態じゃなければ気にかけて貰う事はないから」

そう言った瞬間、ヌナの口元には笑みが浮かんでいたけれど瞳は笑ってなくて。
何の感情も持っていないようにも見えた。

いつもは何処か冷たい色を纏っているのに、優しい黒い瞳が何も光を宿していなくて、ご両親の話をするのはまずかったとすぐ反省した。

だけど、その次にヌナが発した言葉に俺…多分ヒョン達も耳を疑った。

「…だから…人の温もりとか、愛情とか、あまり知らないし…要らないと思ってる」

そう言い捨て、目を伏せてイヤホンを差したヌナ。

…まるでこれ以上は聞くなと、話す気も無いと言われてるようで寂しかった。

後ろに居るヒョン達を見れば、真剣に何かを考えている様子だったけど俺と一緒の事を感じたのか、どこか寂しそうだった。

…隠していた手首のタトゥーを俺は見てしまったけど、それと何か関係あるのだろうか。

昨日、ヌナが先に寝てしまって俺も寝落ちしそうな時、寝返りを打ったヌナの袖が少しだけ捲れた。
暑かったのだろう、少し唸りながら袖を捲ったヌナ。

その時に両手首にあるタトゥーが見えてしまって、右に関しては文字のタトゥーが入っていた。
…英語だから、意味は分からないけど。

…ヌナとは言え、女の子なのにこんなに入れてて大丈夫なのか。

タトゥーの入ってる両手首と英文字のタトゥーが入ってる右前腕を見て、そんな事をふと考えた。

でもヌナは手首を隠したがってた。
タトゥーが入ってる事を隠したがってるのか、タトゥーが入ってる意味を隠したがってるのか…。
俺には分からなかった。

ただ、手首と前腕に入ってるのはタトゥーなはずなのに手首は違うように感じた。

「…………ガ………グガ……ングガ…ジョングガ？」

ぼんやりと昨日の事を思い出していると、ヌナの綺麗な顔が目の前にあった。

JK「はい？」
「宿舎、着いたよ」
JK「はい…ヌナ」
「ん？」
JK「大好きですよ」

そう言って、ヌナの腕を引いた。