花びら67枚目 ページ17
ただ、フラッシュ付きで写真を撮られる事が多くて参った。
フラッシュ付きで写真を撮られるのは私は大丈夫だけど、ジョングクは少しだけ驚いていたので庇うように前に立って進んだ。
すると、私めがけて何かを投げられた。
少しだけジョングクを後ろに押して離した瞬間、冷たい物を頭から被った。
JK「ヌナっ！！」
「…冷た」
ポタポタと髪から落ちてくる雫を見つめる。
投げて来た方を見れば、走ってる後ろ姿が見えた。
「…」
なんか、見た事あるような…。
少し立ち止まって見つめていると、右手に温もりを感じた。
そっちを見ると、ジョングクが心配そうに私を見つめていた。
JK「ヌナ、大丈夫ですか？」
「…うん、大丈夫だよ」
口角を上げてそう言うと、安心したように表情を和らげた。
「…」
手は繋がれたまま、空港を出て車に乗るまで歩いていた。
マネージャーさんにタオルを貰い、頭に乗せて窓に頭を預けているといつの間にか眠っていた。
ホテルに着いて、今日はゆっくり休む。
明明後日の公演に向けて、体力を温存しておく。
次の日は通しで練習をして、流れを理解した所で解散してご飯を食べに行くらしいが、私は断ってコンビニで適当に買ってホテルで食べた。
…どうせ、この国にはもう私の居場所なんて無いんだから。
次の日も本番の流れで練習する。
日本語も勉強しているらしく、休憩中にたどたどしくて可愛い日本語が聞こえて来る。
私の休憩はトイレと水分だけで、ほとんど取らなかった。
日本に居るって思うと、肩身が狭くて何も出来なくなるから。
日本での居場所が無くなった私の家は、日本に近付く事も無くなった。
本当は、羽を伸ばした方が良いとは分かってる。
でも、万が一の事を考えると苦しくて何も出来ない。
だから、練習をずっとする。
SJ「ねぇA、休憩しよ？」
「大丈夫です…」
YG「ちょっとは休まねぇと体に負荷がかかるぞ」
HS「振り付けの方は、もうバッチリだから…ね？」
RM「何かしたいって思うなら、俺達に日本語を教えて？」
JM「僕達少ししか話せないから…お願いっ」
TH「それ以上は体壊しちゃうかもしれないから…もう、休んで」
JK「明日、本番なんですよ？8人全員揃ってやりましょう…？」
泣きそうな顔で皆が見つめてくる。
それでも私は縦に頷く事は出来ない。
「…ごめん」
一言そう言ってから部屋から出た。
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作者名：秋桜 | 作成日時：2022年8月7日 22時
