花びら61枚目ｰHSｰ ページ11
HSside
日本でのショーケースで披露する曲の練習の休憩中。
飲み物を買いに行き、練習室に戻ろうと廊下を歩いていると会議室からAとマネヒョンの声が聞こえた。
あまり聞こえないけど、どうやら今回の日本のショーケースについての話っぽい。
ダメな事だって分かってるけど、会議室の薄ら開いているドアの近くに行く。
すると、衝撃的な事を聞いてしまった。
「…そもそも私、日本に良い思い出が無いのでショーケースを欠席したいんですけど」
え…？
待って。
Aって、日本人なの？
しかも、良い思い出が無いから欠席したい…？？
どういうこと…？？
僕はその言葉を聞いて驚いてこれでもかってくらい頭をフル回転していたけど、次の言葉で体がよろけてしまった。
「勿論8人で防弾少年団ですよ、ただ日本には行きたくないだけです…私を、拒み続ける所なんかに…」
"私を、拒み続ける"という言葉が衝撃的すぎて、よろけて後ろにあった長椅子を足で蹴ってしまった。
マネヒョンもAもこちらを見ただろう。
暫く立って、また話し声が聞こえてから足音を立てずに練習室に走り出した。
なんで…なんで、そんな悲しそうな顔をして話してたの？
"…ホソクさん、これからは何も考えないで笑ってて下さい、皆さんの為に"
"ホソクさんが笑ってるだけで、皆さんの顔にも笑顔が広がるんです、そんな貴方が無理して笑ってると皆さんも辛いと思うので…その荷物は私に任せて、笑ってて下さい"
"…貴方は無理しない方が素敵ですよ"
君が…Aが、そう言ってくれたから僕は心から笑う事が多くなったのに。
君も、最近は笑うようになったじゃん。
なのに、ショーケースを欠席したいとか私を拒み続ける所とか…。
なんでそんな大事な事をマネヒョンには言うの？
僕達には、何も相談しないのに。
Aが僕を助けた時みたいに、僕だってAを助けたい。
その為にはなんでも話して欲しいんだ。
君が苦しむ理由も、たまに表情が無くなる理由も。
ずっと長袖を着る理由も、弱い所も全て聞いて力になりたい。
練習室に戻ると、数分後にAも戻って来た。
…ねぇ、Aの心にちょっとだけ踏み込んでも良いかな？
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作者名：秋桜 | 作成日時：2022年8月7日 22時
