S i g n (ページ12)

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『＿＿＿＿痛っ。』

少しヒールのあるパンプスで走っていたため

バランスを崩してつまづいた。周りの人からは

変な物を見るかのような目でジロジロと見てくる。

もう心はさっきと変わってボロボロで今にも

泣き出してしまいそうだった。その時だった。

？「みさきちゃん？」

川西さんだった。恥ずかしい。

その思いが先走って慌てて立ち上がった。

一気に顔に熱が集まるのが分かった

『か…川西さん、。なんでいるんですか、、、？』

川西「友達の家がこの近くで飲んでたんや。それより転んじゃってたみたいやけど大丈夫??」

川西さんはさりげなくみさきを傘に入れ優しい口調で

心配そうに顔を覗き込み目線を合わせて

聞いてくれた。

その優しさに思わず泣きそうになった。

泣くな。泣くな。泣くな私。そう思えば思うほど

目にどんどん涙が溜まっていった。少しでも

動いたり瞬きをすれば溢れてしまう程だった。

みさきは溢れないように思わず少し上を向いた。

『………ごめん、なさい、、、』

絶対困るはずなのに川西さんはそんな様子を

少しも見せずに優しく言った。

川西「帰ろ。」

そう告げると川西さんは優しくそれでも少し強く

みさきの手を引いて歩き出した。