七十五話 ページ26
人の心とは、予測できないものだ。
私は今、それを実感していた。
「A？どうしたの？」
目の前の椅子にちょこんと座って、私を見上げるのは、孤児院で出会った、きんときという名の少年だ。
彼はつい一時間ほど前まで、嘘に塗れ、作り笑顔で取り繕っていた。
私が、何か良からぬことを企んでいると勘違いされていたからだ。
その、誤解が解けたからなのか。
「A？」
気軽に名前を呼ぶ彼は、全くもって私を警戒する様子を見せない。
作り笑いどころか、屈託のない笑顔を私に向けるきんとき。
一体全体、何がきっかけとなったのか、私にはさっぱりだ。
「何でもないよ」
……まぁでも、ずっと警戒されているよりはこっちの方が私としても接しやすいので、良かったのかもしれない。
そう、割り切ることにしたのだった。
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「いただきまーす」
全員の声が重なって、皆んな一斉にフォークを取った。
スマイルときんときが集まっての、初めての食事だ。
孤児院は思っていたよりも遠かった。往復二時間といったところか。
向こうにも、体感よりは長居していたようで、こちらに戻ってくる頃には夕方になっていた。
夕方頃にこちらに辿り着き、カリスの予定が合うか分からなかったので、スマイルときんときの治療を、薬で軽くした。
ぶるーくときりやんには、きんときとスマイル以外の子は引き取られてしまったことも通知済みだ。
そんなこんなで気が付けば夜になっていて、ぶるーくときりやんが台所へ飛んでいった。
二人が夕飯を完成させたところで今に至る。
本日の夕飯は、スパゲッティだ。ぶるーくの得意料理らしく、トマトベースに味付けされたパスタがそれぞれのお皿に乗っている。
「ん〜！」
くるりとフォークに絡め取り、それを口に運ぶ。まだ熱々の麺を口に入れると、トマトの酸味の効いた濃厚な味が広がった。
思わず、口を手で押さえながら声を出す。
とてもとても美味だった。
「うわ、美味！」
「うまっ」
驚くように目をぱちくりさせるきんときとスマイル。私が作ったわけではないが、どこか誇らしかった。
「ふふーん、すごいでしょ？」
ぶるーくも、鼻高そうに言う。本人の皿もみるみる中身が減っていくので、かなりお気に入りのようだ。
「ご馳走様でした」
そんなこんなで、とても美味しかったので、あっという間に食べ終わってしまったのだった。
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ニゲラ*(プロフ) - 壱樹さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます、一番大好きだなんて……本当に嬉しいです！更新遅くなって申し訳ないです。もう少ししましたら忙しい時期を抜けると思いますので、もう暫くだけ亀さんペースをお許しくださいませ。これからも頑張りますね(*^▽^*) (4月8日 16時) (
レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
壱樹 - めちゃくちゃ良いです…！今まで見た小説の中で１番大好きです！これからもがんばってくださいっ！ (4月4日 17時) (レス) @page18 id: d010ee6f51 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - 群青色の匠さん» 本当に文字化けの件はご心配おかけしてしまったようで……バグではなく正常動作です！応援コメもありがとうございます！読者様方には本当いつも励まされております……更新スピード落とさぬよう、努力していきます！この先も宜しくお願いします(^-^) (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - みどさん» 文字化けはエイプリルフールのちょっとした冗談です、笑って許してくださいませ……水色さんや緑色さんはもうしばらく先になってしまうかと思いますが、もう登場までのプロットのようなものはできていますのでお楽しみに！（なるはやで文字起こしします！） (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - おださん» またまたコメントありがとうございます‼︎通知気付かれてすぐに来てくれているのですね……！そこまで楽しみにしていただけているなんて本当に喜ばしい限りです！おだ様含めた読者様方のために、この先も尾も白い作品作り頑張りたいと思います！ (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニゲラ* | 作成日時：2024年3月14日 15時
