七十二話【SIDE きんとき】 ページ23
ーSIDE きんときー
スマイルが連れられて行き、暫く経った。
自分が何もできなかったという現実を受け入れられなくて、彼のいるはずの反省室の扉の前で蹲る。
自分の足の間に顔を埋めて、次こそはスマイルのために何かできるようにしようと考え込んでいた。
すると不意に、上から声が掛かる。
「マルナナマルキュウ。そこを退きなさい」
声の質から、すぐに院長先生だと気付いた。でも、口調からしていつもと何かが違うことを察する。
「客が中のヒトフタサンヒトに用事だ。そこを退きなさい」
自分が俯いたままでいると、もう一度院長先生の声が聞こえた。それを聞くに、どうやら口調が違ったのは客が一緒だからのようだ。
院長先生が言うに、客は中に居るスマイルに用事があるらしい。
用事＿＿この孤児院に来る客の用事といえば、思いつく限りでも碌なことはない。
一番多いのは、ストレス発散のためのサンドバッグにすること。
次は、考えたくもないような行為をすること。
そして、極々偶に、労働力を求めることがある。
多分、今日の客は一個目か二個目が目当てだろう。スマイルは力が他よりもあるわけではないので、わざわざ彼を指名する必要性がないからだ。
ちらりと上を向けば、院長先生とその横に立つ女の人が目に入った。
客として女の人が来るときは、大抵の場合は要求は二番目に挙げたことをやりに来ているとき。
今のスマイルに、そんなことをさせたいと思うわけがなかった。
「中にいるのは反抗的だし、やめた方がいいと思う。代わりに俺が相手するよ？」
気付けば、立ち上がってそんなことを口走っていて。
スマイルを少しでも助けたいと、自分が代わりになると客に言い張った。
でも、それは俺の勝手な勘違いだったようだ。
院長先生が、この人は客ではないと教えてくれた。スマイルを引き取りたい、里親候補とのこと。
ほっと安心すると共に、スマイルもいなくなってしまうのかという寂しさが襲ってきた。
媚びようと貼り付けた笑顔は消え、孤独感が身を包み込む。
前を向いていることができなくて、自然に視線を床に向けてしまっていた。
「……子供部屋に戻ってなさい」
そんな自分を見て、院長先生は俺にそう命令した。
他にやることもなかったので、それに従うことしかできなかったのだった。
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ニゲラ*(プロフ) - 壱樹さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます、一番大好きだなんて……本当に嬉しいです！更新遅くなって申し訳ないです。もう少ししましたら忙しい時期を抜けると思いますので、もう暫くだけ亀さんペースをお許しくださいませ。これからも頑張りますね(*^▽^*) (4月8日 16時) (
レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
壱樹 - めちゃくちゃ良いです…！今まで見た小説の中で１番大好きです！これからもがんばってくださいっ！ (4月4日 17時) (レス) @page18 id: d010ee6f51 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - 群青色の匠さん» 本当に文字化けの件はご心配おかけしてしまったようで……バグではなく正常動作です！応援コメもありがとうございます！読者様方には本当いつも励まされております……更新スピード落とさぬよう、努力していきます！この先も宜しくお願いします(^-^) (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - みどさん» 文字化けはエイプリルフールのちょっとした冗談です、笑って許してくださいませ……水色さんや緑色さんはもうしばらく先になってしまうかと思いますが、もう登場までのプロットのようなものはできていますのでお楽しみに！（なるはやで文字起こしします！） (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - おださん» またまたコメントありがとうございます‼︎通知気付かれてすぐに来てくれているのですね……！そこまで楽しみにしていただけているなんて本当に喜ばしい限りです！おだ様含めた読者様方のために、この先も尾も白い作品作り頑張りたいと思います！ (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニゲラ* | 作成日時：2024年3月14日 15時
