六十四話 ページ15
「よし、おっけい」
暫く布と格闘を繰り広げれば、漸く目隠しは解けてくれた。
視界が明るくなったのに気付いたのか、少年は一気に大人しくなる。
そして私は、目隠しによってさらに頑丈に固定されていた耳栓も、取ってあげた。
「聞こえる？」
私が声をかけると、驚いたように振り向く少年。
彼は院長先生の資料にある通り、紫色の特徴的な瞳をしていた。
「だ、誰」
私が少年のことを見つめていれば、そんな私を警戒するようにして少年は言った。
「私はA。ちょっと君に用事があってね」
怖がらせないよう、私はできるだけの努力をして、優しい声を出す。軽く魔法を使い、彼の両手を拘束する手錠を破壊した。
金属音を響かせて床に落下する鎖。
自分の手が自由になったことで力が抜けたのか、少年はへなへなと地面に座り込む。
「……客？」
それでも、私への警戒心は消えないようだった。強く睨まれながら、少年は私に問う。
「客じゃないよ、多分だけど。君を引き取ろうと思ってるんだ。里親だよ」
客、が何を意味するのか。今の私には想像もつかない。
でも、院長先生がドアの前で蹲っていた少年に『安心しなさい。彼女は里親候補です』と言っていたのを思い出す。
私は、多分“客”ではなかった。
「里親……？」
おうむ返しのように聞き返す少年。私は大きく、ゆっくりと首を縦に振った。
「話したいことがあるんだ。ちょっと着いてきてくれる？」
私がそう言えば、少しは警戒を解いてくれたのか。
恐る恐る立ち上がった少年は、コクリと頷くと、私の後に着いてきてくれた。
未だ部屋の隅で怪物を見るかのような目で見つめる院長先生に談話室を借りることを告げ、私は談話室へと向かった。
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「それで、話って何……なんですか？」
談話室に着いて、私は少年に机を挟んで向かい側に座ってもらった。先程、私が座っていた革張りのソファだ。
座る際に戸惑っている様子が見られたので、座って良いよと言ってあげれば、腰を下ろしてくれた。
少年がソファに座ると、そのまま口を開く。
多少は警戒心を解いてくれたようだが、それでもかなり私のことを信用していないようだ。
……まぁ、初対面の大人なんて信用もクソもないけどね。
私は少年の問いに対して、一つ一つ伝えたいことを口にしていったのだった。
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ニゲラ*(プロフ) - 壱樹さん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます、一番大好きだなんて……本当に嬉しいです！更新遅くなって申し訳ないです。もう少ししましたら忙しい時期を抜けると思いますので、もう暫くだけ亀さんペースをお許しくださいませ。これからも頑張りますね(*^▽^*) (4月8日 16時) (
レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
壱樹 - めちゃくちゃ良いです…！今まで見た小説の中で１番大好きです！これからもがんばってくださいっ！ (4月4日 17時) (レス) @page18 id: d010ee6f51 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - 群青色の匠さん» 本当に文字化けの件はご心配おかけしてしまったようで……バグではなく正常動作です！応援コメもありがとうございます！読者様方には本当いつも励まされております……更新スピード落とさぬよう、努力していきます！この先も宜しくお願いします(^-^) (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - みどさん» 文字化けはエイプリルフールのちょっとした冗談です、笑って許してくださいませ……水色さんや緑色さんはもうしばらく先になってしまうかと思いますが、もう登場までのプロットのようなものはできていますのでお楽しみに！（なるはやで文字起こしします！） (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
ニゲラ*(プロフ) - おださん» またまたコメントありがとうございます‼︎通知気付かれてすぐに来てくれているのですね……！そこまで楽しみにしていただけているなんて本当に喜ばしい限りです！おだ様含めた読者様方のために、この先も尾も白い作品作り頑張りたいと思います！ (4月1日 13時) (レス) id: 7f55ccc0a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ニゲラ* | 作成日時：2024年3月14日 15時
