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はじめましてAAAです〜6〜 ページ7

「なぁ、末吉。そんな言い方ねぇんじゃねぇの?」日高が言う。

「………。」
末吉は黙り込む。

日高は尚も続ける。
「確かに俺たち、デビューが決まって浮き足立ってたかもしれない。でもレッスンしてきてようやくデビュー出来る!嬉しい!とか、思っちゃダメなのかな?末吉の言う事も分かる。新メンバー入りは俺たちの力が足りなかったからかもしれない。でも俺は多方面から見て、いつも的確なアドバイスをくれる社長を信じたい。」

末吉は下を向き黙って聞いていた。

今度は浦田が、口を開く。
「今回のメンバー入りの件は誰のせいでもない。別に努力が足りないとかじゃないんだ。」

「どういう事や?」
與の一言と共に、一斉に視線が浦田に集まった。

「社長と食事に誘われた時、この話をされたんだけど、どうやら社長はオーディションをするまでは7人でデビューさせようと思ってたらしいんだ。でも、オーディションであの子に出会ってしまった。一目見た瞬間に、俺たちと一緒にステージにいるあの子が目に浮かんだらしい。とにかく、俺たちが原因じゃないんだ。」

宇野は納得した様子で
「要は社長の直感って事ね。」

「ただ…」浦田は眉を顰め、いつもより声のトーンを下げ
「俺も末吉の言う事は、一理あると思う。」

末吉はすーっと顔を上げ、浦田ひとりをじっと見た。

浦田は先程の表情をゆるめ、優しく話し始める。

「今の俺たちじゃ、まだまだ芸能界で、生き残っていけるレベルじゃない。上には上がいるし、下からだってどんどん新しいのが来る。自分たちが受かったオーディションには、不合格になった人たちもたくさんいる。その人たちが、こいつらに負けたならしょうがない。って思えるくらいにならないとダメなんだと思う。
今のままデビューして、その人たちの事、納得させられる?
…俺は出来ないと思う。」

すると、ようやく黙り込んでいた末吉が口を開いた。

「みんなごめん…。
俺自身、余裕なくてカリカリしてた部分もある。でも、みんなには気づいてほしかった。本気でやれば、もっと出来るって事を。言葉で言えばよかったけど、俺も意地張ってたし、口下手だし…その…」


「ううん。末吉くんの言う通りだと思う。一生懸命やってるつもりだったけど、何となく今の自分に満足してる自分がいたかも。」
今までの自分を思い出すように伊藤が言った。

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作者名:憂〜Ui〜 | 作成日時:2017年9月19日 0時

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