AAA～8人目の加入～ (ページ6)

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はじめましてAAAです～5～ページ6

呆然と立ち尽くすメンバーたちだったが
「ほら！練習するぞ！」
手をパンパンと叩き、浦田が空気を変えようとするが、皆には届かなかった。
今までこのメンバーで頑張ってきたのに、なぜ今更？と言う思いが大きかった。

「いつから社長に相談されてたの？」
宇野が浦田に詰め寄る。

「一週間くらい前だよ、マジで。急に呼び出されて、メンバー一人増やそうと思う。リーダーだから先に言っとく。って。」
宇野の剣幕に後退りしながら答える。

「じゃぁなんで私たちに言ってくれなかったの？」今度は伊藤が言う。

「社長に、まだ本決まりじゃないからメンバーには言うな。って言われてたの。俺だって、今日言うなんて知らなかったよ。」

スタジオが重い空気に包まれる。

そんな空気を断ち切ったのは日高だった。

「FRIDAY PARTYってデビュー曲じゃないんだね～、俺てっきりデビュー曲だと思ってたよ。あと半年で間に合うのかな？あの子もこれからレコーディングしてダンス覚えるんだろ？俺たちも負けてらんねぇーぜ？」

「せやな。社長が言うんやから、一人増えるのは変えられへん。俺らはデビューに向けて精一杯やるだけやんな？」
與が立ち上がろうとした瞬間

「お前らの力が足んねぇからだろ？
何、新入りが入る事、すんなり認めてんだよ。」
末吉だ。
また、空気が重くなる。

「この際だから言わせてもらうけど、
俺から言わせれば、お前ら全員甘いよ。
デビューがゴールじゃねぇ。なのにお前ら
全然分かってねぇよ。だか…」

「んだと、このやろう！黙って聞いてりゃ…！」西島が末吉の胸ぐらを掴んで殴りかかろうとした。

「キャーやめて！」女子メンバーは目を背け、身を屈めた。

シーン……

一瞬、時が止まったように感じた。

恐る恐る目を開けるとそこには、西島の拳をぐっと抑えている浦田の姿と、末吉を抑える日高と與の姿があった。
が、次の瞬間、止まった時間が動き出す。

西島は近くにあった長机を思いっきり蹴った。
派手な音を立て机が倒れた。

「…くっそ。離せよ。殴らねぇから。」
西島が拳を開き、力を抜いた。
浦田から解放された西島は、末吉を睨みつけながら無言でスタジオを出て行った。

「おい！」浦田がすぐ呼び止めたが、振り返る事もなく何処かへ姿を消した。

末吉も二人から解放されていた。