AAA～8人目の加入～ (ページ12)

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プレッシャー～1～ページ12

「どうだった？緊張した？」
廊下を歩きながら
社長は優しくAに話しかけた。

「…はい。」
Aは緊張気味に答える。
まだ、オーディションに受かってから数週間…
そんな中でいきなりの抜擢。
この状況についていけていない自分がいる。
正直、不安だ。
本当に自分で良いのだろうか。
もっとレッスンを積んで他のグループとして
デビューした方が良いのではないか。
ネガティブな気持ちがどんどん自分を押し潰していく。

「じゃぁ今日もレッスン頑張って。
１日も早くメンバーと合流出来るように。」

社長はそう言ってエレベーターに乗ろうとボタンを押した。

エレベーターがこの階に着く前に、社長に今の自分の気持ちを伝えなければーーー。
こんな気持ちのままではAAAさんに申し訳ない。
エレベーターの階数ランプがカウントダウンかのようにAを急かしている。
「早く言わなきゃ」
頭の中では分かっている。
でも何から伝えればいいのか。どうやって伝えればいいのか。なかなか最初の言葉が出てこない。

そんな私の方をチラッと見て社長は
「不安です。って顔に書いてあるよ？」

「‼え？あ、いや、あの、やっぱり…私なんかが、急に8人目のメンバーとして今から加入することは、ご迷惑というか…足手まとい…じゃないですか？」
心を読み取ったかのような一言に慌ててしまったが、今まで心の奥にあった不安な気持ちを少しではあるが伝えられた。

すると社長は「う～ん…。」と少し考え、こう答えた。

「君なら出来ると思って」

「なんでそんなこと、わかるんですか。」

「長年の勘」

「………。」

「そんな目で見るなよ。笑
Aは、どう思う？嫌だ？」

「…嫌…じゃないですけど、その…」

「じゃあ大丈夫、頑張って」

社長は爽やかな笑顔をこちらに向けるとエレベーターに乗って行ってしまった。

嫌かどうかなんて聞かれて
はっきり「嫌です」なんて言える訳ない。
それに嫌な訳ではない。
「君なら出来る、大丈夫」って
社長は一体、どこからその自信が湧いてくるのだろうか？
長年の勘と言っていたが
勘が外れていたら私はどうなってしまうのか。
更に不安が募ったように感じた。