我儘 (ページ6)

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「ねぇねぇ？」

仕事がひと段落して伸びをしていると
隣に座る女性に話しかけられる。

「もしかして今日移動して来た笠松さん？
確か…大阪からだっけ？」

『はい！笠松です。よろしくお願いします！』

「あはは笑そんなにかしこまらないで下さい。
　…実は私達同い年なの」
　
　
　
　
小さな声で呟いて微笑む美女は
「広瀬アリスです。よろしくね！」と微笑んだ。
　
　
　
　
『同い年嬉しい…よろしくね！』
　
広瀬「私も嬉しい～ほらここ…若い人あんまいないから。同期は笠松さん合わせても四人だけなの。他二人は男性だし」
　
　
他の二人は誰だろうか…と考えていたら広瀬さんが私の耳元で話し始める。
　
　
広瀬「今日早く終われそう？良かったら飲み行かない？」
　
『え、行きたい！』
　
広瀬「近くに居酒屋があるの、じゃあまた終業後に！」
　
　
　
　
..
　
　
　
　
　
『「乾杯！」』
　
賑わっているけど何だか心地の良い居酒屋の角の席で広瀬さんのグラスを合わせる。
　
　
『あ～美味しい！仕事終わりのビール久しぶりやわ』
　
広瀬「そうなの？大阪では飲まなかったの？」
　
　
大阪では人間関係が上手くいかず飲みに行く相手など居なかった、と言うのが本心だが、話が重くなるのを避けて話を逸らした。
　
　
『まぁとにかく、広瀬さんと飲めてすっごく嬉しい！』
　
広瀬「えぇ？照れるなぁ笑
ってか"広瀬さん"って堅いし呼び捨てでいいよ！アリスとか？」
　
『んふふ笑わかった、アリス！』
　
広瀬「あぁもう本当可愛いなぁ～」
　
　
ビールをゴクゴクと音を立てて飲む美しい見た目とは裏腹にパワフルなアリスはビールを空にした。
　
　
　
　
『ところで同期のあと二人ってどの人？』
　
広瀬「えっとねぇ～神木と吉沢の二人だけど…って言ってもわかんないよね笑」
　
『え？！吉沢さん同期なん？！』
　
広瀬「あ、もしかしてもう吉沢と話した？」
　
　
『いや話したって程じゃ、デスク案内して貰っただけやし…ニコリともされんかったし』
　
　
広瀬「あ～アイツ無愛想だから。
ほら、あんな見た目だから他部署からの女の子も話しかけに来るんだけど、「忙しい」の一点張りで超塩対応で」
　
　
　
　
　
　
　
　
話を聞いているだけでも、吉沢さんがどんな人なのかは何となく予想がついた。