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資料室のドアを静かに閉めて部長に事情を話す。
ついでに看護室に厚手のブランケットを剛さんに持って行くことにした。
吉沢「何処行くんですか?」
何故いつも廊下で会ってしまうのだろう。
せめて部署内であれば彼のファンに憎まれることもないのに。
『ちょっと、
吉沢「なんか避けてる?」
彼の横を通り越そうとすると
目の前に立って道を塞ぐ吉沢さん。
『っ、避けてませんよ』
吉沢「嘘だ」
『嘘ちゃうよ』
吉沢「今週末食事行きませんか?
ほら…前に言ってた借り、返します。」
『今週末はちょっと、』
吉沢「解った、じゃあ遠出しようよ。いつもこの辺だし」
遠出するのであれば会社の人に見られる心配はない。
『それなら…』と答えると吉沢さんは小さく微笑んだ。
吉沢「週末、昼頃に迎えに行きます。」
それだけ告げて去って行く。
短い会話だったから誰にも聞かれてないだろう。
彼の背中を見送って、私は救護室へと向かった。
..
『…失礼します』
寝息を立てて眠る剛さんを起こさないように
そっとブランケットを掛ける。
昼休憩まではあと三時間半。
睡眠時間としては全く足りないけれど、
少しでも身体が休まるのならばそれで良い。
幸せそうに眠る綾野さんの寝顔を見ると少し安心した。
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作者名:sun. | 作成日時:2021年4月19日 17時