我儘 (ページ32)

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『すみません、長居しちゃって』
　
吉沢「ごめんね俺も引き止めちゃって、久々にお腹抱えるぐらい笑ったから」
　
『うん。私も、笑』
　
　
　
　
　
　
　
　
玄関に行く私を追って来た吉沢さんは
何故かコートを抱えている。
　
　
　
　
　
　
　
『あれ、何処か行くんですか？』
　
吉沢「送るよ」
　
　
『え？病み上がりなんだから大丈夫…』
　
吉沢「でも夜遅いし」
　
　
『いやまだ9時やで？』
　
吉沢「もう9時だよ」
　
　
『も～、心配されるような歳でもないんですけど』
　
吉沢「車の方が早いでしょ。それに俺もコンビニ寄りたいから」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
「ほら」とドアを開けてくれる吉沢さんは引き下がりそうもないので、言われた通り送ってもらう事にした。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
『吉沢さんって心配性ですよね』
　
吉沢「そうかな」
　
　
　
　
　
運転する横顔を見つめながら話す。
　
　
　
　
　
　
　
　
吉沢「一人の夜道は危険ですよ」
　
　
　
　
『だから私もう26歳で＿＿…
　
吉沢「年齢は関係ありません」
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
赤信号に照らされた吉沢さんが真剣な顔でこちらを見た。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
吉沢「…"俺が送っとけば、"って後悔したくないんです」