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『吉沢さん、起きれます?
少しだけでも食べて薬飲んでから寝た方が治り早いと思うので、』
彼は「んん」とゆっくり身体を起こして素直にお粥を口にした。
吉沢「…んまっ」
『無理せずに残して下さい』と多めによそったつもりが、あっという間に綺麗に完食してくれた。
『食欲はちゃんとあるみたいで良かった』
吉沢「朝は無かったんだけど、これなら食べれました」
『ふふ笑 良かったです。薬、飲んで下さいね』
吉沢「ありがとう、助かります」
『今日、神木さんとアリスと、あと山崎さんも
何だか様子がおかしくて』
吉沢「…おかしいって?」
『吉沢さんの家に行くのに誘ったらあからさまな嘘ついたり、とか』
吉沢「ごめん、それ俺のせいだ。弁解しとく」
『弁解?』
吉沢「俺 滅多に女性と話さないから、あいつら面白がってんの。ごめんね」
『あぁ〜なるほど…笑』
確かに吉沢さんがアリス以外の女性と話している姿も、もはや女性に愛想良くしている姿すら想像付かない。
『…勿体ない』
吉沢「え?」
『あ、いや…吉沢さんと話したい女性はいっぱいいるのになぁって』
吉沢「いないよ、そんな人」
『えぇ〜いますよ。
気づいてないかもしれないですけど
吉沢さんが廊下歩いてるだけで周りの女性社員は色めき立つんですから』
吉沢「あ〜…それは気づいてるかな」
『あはは笑 やっぱ気づいてんねや笑』
吉沢「まぁね笑」
『じゃあ…何で冷たくするんですか?』
吉沢「え?ん〜 …なんでやろなぁ?」
関西弁を真似した吉沢さんが無邪気に笑う。
『関西弁めっちゃ下手やで?』
吉沢「うっさいわぁ〜」
『あはは笑 イントネーション酷い笑』
吉沢「あはは笑 意外と難しいな笑」
『26年間の積み重ねですから笑』
吉沢「いいよね、関西弁。何か元気でる」
『何やそれ笑』
吉沢「あ、つっこんだ笑」
『いちいち言わんで笑』
吉沢「あはは笑 ごめんごめん、新鮮で笑」
その後もくだらない話を延々とした。
こんなに笑ったのも久しぶりというくらいに二人でずっと大笑いしてた。
後から思い返すと何がそんなに面白かったのかは解らないが、何故だかとても波長が合っていたのだと思う。
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作者名:sun. | 作成日時:2021年4月19日 17時