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「あ、あの、坂田くん、おはよう」
学校に到着して、既に着いていた彼に話しかける。
いつも机に突っ伏して寝ているので最初は話しかけていいのか悩んだけれど、彼が気にしなくていいと言ってくれたので話しかける。
「...んぁ、A、おはよう」
「おはよう、...今日もすごい寝癖だね？」
「えっまじ？家出る前にちゃんと整えてきたんやけどなぁ、やっぱ学校で寝たら変な寝癖つくんかな」
「え、毎朝髪の毛整えてるんだ、」
「ちょっと、今こんなだらしないヤツでもそんなことするんだって思ったやろ〜？」
「思ってない思ってない！...ちょっと意外だな〜って」
「思ってるやん！もぉ〜、」
朝から二人でそんな会話をして笑い合う。
私が転校してきた次の日から、大体そんな感じだ。
「コラ坂田！なに朝練サボってん！」
「げ、センラ」
教室のドアを大きな音をさせながら開けたのは、坂田くんのお友達のセンラくん。
隣のクラスで、私はあんまり話したことがないけれど、どうやら結構坂田くんと仲がいいようだ。
「ちょ、センラめんどくさいから逃げよ」
「え、ちょっと坂田くん！？」
坂田くんは突然私の手を握って教室を出た。
後ろからセンラくんの制止する声が聞こえたけれど、そんなのお構い無しで坂田くんは走っていく。
3階の渡り廊下まで来て、手を離された。
「ごめんな、突然手握って」
「ぁ、ううん、」
運動は苦手なので、すぐ息切れをしてしまった私を気遣って、傍にあった自動販売機で水を買ってくれた。
「センラ、いっつもうるさいんよねぇ、Aもそう思わん？」
「え、私はあんまセンラくんと話したことないからわかんないけど...」
「話さん方がええよ、ほんまなんかあったらネチネチネチネチうるさいんやから」
「...あ、そうだ、坂田くん部活入ってるの？」
「そうやけど、言うとらんかったっけ？」
「聞いてないよ？」
私がそう返事をすると、坂田くんはしまった、という顔をした。
「俺サッカー部なんよ、しかもキャプテン」
「えぇ、キャプテンが朝練サボってていいの？」
「俺なりたくてなった訳やないもん、サッカーやって好きやなかったし」
「そうなんだ...」
多分、坂田くんみんなに人気だから、その人望の厚さからキャプテンに推薦されたんだろう。
まだ数日間しか見ていないけれど、この数日でそれはよくわかった。でも、キャプテンは大変だろう。どうにか出来ないだろうか、私が、坂田くんの為に出来ること...、
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作者名：あずき | 作成日時：2023年5月28日 17時
