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#7 ページ8










瞬きすら、惜しかった。
スポットライトの下、会いたくて堪らなかった彼はそこに立っていた。

たくさんの、仲間と一緒に。


焼き付いていた記憶が塗り替わっていくのを感じていた。
愁いを帯びた、寂しく笑う幼い彼の顔。
それが、ひとつずつ、輝くように楽しそうな笑顔を咲かせる彼に塗り替わっていく。





湿ってふやけた2枚のチケットを、きつく、きつく握りしめた。
叫びだしそうな唇を、噛み締めて。
それでも堰を切ったように止まらない涙がさらに染み込んでいく。








――――みすみくん、






噛み締めた口の中で、何度も呼んだ。
合わせる顔なんてない、それでも、呼ばずにはいられない。
気付かないで―――――気づいて、もう一度だけ。






「っ、」






――――A、





声が、聞こえた。
黄金色の瞳が、私を捉えた気がした、その刹那。
優しくて甘い、彼の声が私を呼んだ気がした。


夢でも、幻でもいい。
そんな気がした。それが全てだった。








「ぁ、あぁ…っ」








手離すなんてできない。
忘れられない。離れられない。
この胸に根付いて、何度も花を咲かせ続けるその想いも、彼自身も。





誰にも渡したくない。
他の誰にも知られたくなかった。
私の、私だけのものだったのに。


それでも、――――それでも。
誰もに知られても、私だけのものでなくなっても。
それが、貴方を諦められる理由にはならない。






割れんばかりの拍手の中、彼は堂々と立っていた。
大輪に咲いた、ダリアの花のように。

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作品ジャンル:恋愛
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♭れもん - な、なける…すみー… (2020年1月5日 3時) (レス) id: 3207116b3a (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - 急にこんなもの投稿するなよォ……好きだ……… (2019年12月16日 0時) (レス) id: 4110ba5437 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一華 顕音 | 作成日時:2019年12月15日 17時

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